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「アートは人を豊かにする」が意味する2つのこと

フィルム写真

上の写真は奈良県にある「おふさ観音」で撮ったもの。

自宅近くの「久米寺」に訪れた後、その足で参拝してきました。 「おふさ観音」は、狭い路地の住宅街の一角にあるお寺。 境内の規模は小さいものの、イングリッシュローズが多く咲くことで有名なお寺です。 そんなバラと寺院のミスマッチ?を撮ろうとしたのですが、失敗。ぼくは花の写真が苦手でした。

代わりに線香の写真を撮ったのですが、こっちの方が撮るのも見るのも好きですし、なによりぼくの写真らしいかと。

この写真は、そんな1枚です。

写真リンク: Incense l 67 PHOTO

この写真は、立っている線香と灰の景色が「きれい」だったので撮りました。

ただ、ファインダーを覗いた瞬間にメインの被写体を代えたのも事実。 本来は、灰となって形の崩れた線香をメインにするつもりだったのですが、 線香に書かれている「文字」に気が付いて、急遽それをメインに、3分割のクロスポイントに配置したわけです。

ですので、「あともう少し寄れば良かったかな」とも。

それにしても「文字」には、被写体的な「きれい」があるかと。 急遽、写真の主題を代えたくなるほど。 思えば、主題にしなくとも、アイキャッチ的にも活かせるので、過去にも多くの「文字」を撮りました。

そして、それは「文字」の意味を知らなくても変わらないと思います。

この写真に写っている「文字」は「心願成就」ですが、その意味と、文字の持つ被写体的な「きれい」に、因果関係は無いのかと。 それは、外国人の方が「漢字」をcoolと思う感覚と同等かと。 文字の持つ「意味」ではなく、その文字の形が生み出す空気感に、心が惹かれたのかと。

つまり、文字を「文字」として捉えるのではなく、一種のデザインされた「エンブレム」として見たとき、そこには被写体的な「きれい」があると思うのです。

ただ、それに気付くことは難しいのかも知れません。

例えば上でも書いた「漢字」。 外国人の方が「漢字」をcoolと感じるのは、おそらく文字としての意味を知らないからかと。 もし、その意味を知っていたら、その先入観から「漢字」をデザインされた「エンブレム」と、coolな記号と、純粋に思えなくなってしまうと。

「涼しい」や「ホコリ」、「宇宙人」も、デザインされた「エンブレム」として見たらcoolなのかも知れませんが、 その意味を知ってしまうと、その価値観はだいぶ下がると思います。

そして、それは「文字」に限ったことではないかと

文字は、その意味を知っている以上に、日常に溢れている「伝達手段」なので、それを被写体的に見ることは難しい。 文字は「美しさ」の尺度で計るものではないと。そして、それは文字だけではなく「日常に溢れているもの」全てにいえることかと。

それは「慣れ」や「思い込み」から来ること

日常でも美しいものに触れることは、いくらでも可能です。 テレビを見たり、本を開いたり、美術館に出かけたり、旅行へ行ったり。 「美しい」と定義されているものを見る方法は溢れているので、わざわざ自分で見慣れたものを「美しい」の尺度で計ることも無かったりします。 そして、それは「美しいもの」と「そうでないもの」の境界線を明確にすることにも繋がっているのかと。

深緑の山、落差のある滝、護岸工事されていない川、そのような「溢れる自然」は美しい。 道に落ちている石、公園の階段、ひび割れた壁、日常の食卓に並ぶ料理、そのような「心が動かない見慣れたもの」は美しくない。

そんな誰も疑わない「暗黙の定義」があると思うのですが、実際はそんな定義も存在しないと。 それを構築しているのは大多数の人が共有する「慣れ」や「思い込み」。 たしかに、周りと価値観を共有したいならば「暗黙の定義」を守る必要もあるかも知れませんが、守ったところでそれ以上のメリットもありません。 そう考えれば、そんな「暗黙の定義」を頑固に守る必要もないとも思うのです。

その枠を越えるのに必要なのは「限りない客観性」なのかと。

たまに、「写真をやると全てが美しく見える」なんてことを聞くのですが、そういうことなのかと。 写真に限らず「アートは人を豊かにする」と聞くのですが、それもそういうことなのかと。 「それを他に応用すれば... 」という2重の意味で。

ほんと、アートは奥が深いです。

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カテゴリ: 写真 | 筆者: kenji  | 投稿日: 2017/12/10

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