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「伝えたいテーマ」と「撮るためのテーマ」

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上の写真は北海道の有珠山で撮ったもの。

3歳になった長男とのふたり旅にも慣れてきたころ。 山歩きにも不安は無かったので、前々から行きたかった有珠山へ。 ロープウェイで山上の展望台まで行き、そこから尾根伝いの散策道を進んでみました。

そして、鬼のような段数の階段を途中まで降りたところで踏みとどまりました。 これ以上進むと途中で息子がへばる気がしたので。

ただ、それも時すでに遅し。 折り返しの昇り階段は、息子を抱っこして進むことに。 そんなとき、ふと見上げると、「空まで続くような階段」の景色が飛び込んできました。

青い空と緑の山肌。
それを裂くように延びるのは、人の造った規則正しい木造の階段。 そのコントラストが印象的だったので写真に収めたわけです。

写真リンク: Stairs l 67 PHOTO
参考: 荒涼とした有珠山と抜ける青空

そんな「階段」も、ぼくの好きな被写体のひとつです。

Webでも割りと見かけることの多い被写体かと。 特に抽象的なテーマを追ってる方に多く撮られている気がします。 「はしご」や「上り坂」もそうですが、「階段」はポジティブな気持ちを表現したいときに使いやすい被写体なのかと。

そんなテーマで撮られた、いわゆる「心象風景写真」は結構好きなジャンル。

ただ、好きと言ってもそれは見る側のことでして、「心象風景写真」の定義はあいまいですが、そのような写真を撮ろうとしたことはありません。 ぼくはどちらかというとリアリスト。自覚はしていませんが、分けるとしたらそっち側の人間なんだと思っています。

なので、上の写真に題名を付けるとしたら、それは抽象的なものではなく、 つまり「希望」や「未来」、「飛躍」などではなく、 あくまでもリアルな「階段」や「有珠山」、もしくは「地球」にすしたいです。

でも、閲覧者は撮り手とは違う解釈を写真からくみ取ってもいいと思います。

例えば、上の写真から、「希望」を感じてくれても構いませんし、そう思ってくれたら素直に嬉しいと。 また、「絶望」などのマイナスな感情をもってくれても構いませんし、ぼくの思いつかない感情をもってくれても嬉しい。 自分の写真に対して誰かが何らかの解釈をしてくれるだけで嬉しかったりするのです。

そう考えても写真は、撮り手の意図したテーマを、受け手は必ずしもくみ取る必要もないのかと思ってます。

もちろん、伝えたいメッセージがあるのならば、受け手にそれがしっかりと伝わらないとダメですし、その努力も撮り手には必要なのかと。 ただ、伝えたいメッセージの無い写真は、受け手がどう解釈しようとも自由ですし、そんな写真もアリだと思うのです。

そもそも、写真のテーマには「伝えたいテーマ」の他に、「撮るためのテーマ」もあると思っています。 それは、撮り手が写真を作るために利用するテーマであって、「伝えたいテーマ」とは違うもの。

つまり、「"伝えたいテーマ"のある写真」は、テーマを伝えることが目的の「手段の写真」であるのに対し、 「"撮るためのテーマ"を利用した写真」は、テーマを手段として利用した「目的の写真」。

このふたつは、「どちらが優れた写真か?」ということでもなく、また「撮るためのテーマ」を利用した写真であっても、別の「伝えたいテーマ」もあったりするかと。 そう考えると、このふたつを比べること自体がおかしいのかも知れませんが、すくなくとも「伝えたいテーマ」の他に「撮るためのテーマ」も確実に存在すると思うのです。

そんな「撮るためのテーマ」も、意図せず写真に載るものですが、そのテーマは受け手に伝わる必要のないもの。 そして、「伝えたいテーマ」以上に「撮るためのテーマ」を意識した写真は、必ずしも受け手にそのテーマが伝わる必要もないと思うのです。

ぼくが写真を楽しいと思えるのは「撮るためのテーマ」を持っているから。

趣味で独りよがりで自己完結な写真を目指すならば、「伝えたいテーマ」を追うより、「撮るためのテーマ」を持っていた方が楽しいと思います。 伝えるだけでは終わりにならないので。

たしかにそのテーマを誰かに伝えたい気持はありますが、それよりも「撮るためのテーマ」を使って写真を撮り続けたい。 ですので、そのテーマが受け手に伝わらなくても、ぼくの写真に対して誰がどんな解釈をしてくれても構わないと、そう思うのです。

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カテゴリ: 写真 | 筆者: kenji  | 投稿日: 2017/12/01

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