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【解説】原木椎茸の撮り方、食べ方、育て方

原木しいたけ
原木椎茸(しいたけ)

キノコは「木の子」とも書けるように、本来は原木に生えるもの。 それは人工栽培になっても同じです。菌床栽培では「おがくず」を固めたブロックから生えてくるのですが、原木栽培では、文字通り原木から生えてくるのです。 そんな姿を見れば、やはりキノコは「木の子」かと。 そんなキノコの「原木椎茸」は、誰がどう撮ってもインパクトのある写真になると思います。



ほだぎ
伏せ込み中の榾木(ほだぎ)

90cmの長さに切られた原木は、ドリルで無数の穴を開けられ、そこに「椎茸菌」を植え付けられていきます。 植え付けられた原木は、森林の中に放置(伏せ込み)されるのですが、原木の内部では「椎茸菌」が繁殖していくのです。 原木の隅々まで菌は伸びていき、原木の養分を摂って成長していきます。こうして原木は椎茸栽培用の「榾木(ほだぎ)」へと変わっていくのです。



自然子
秋の自然子(しぜんこ)

時間と椎茸菌が森林の中で原木を「榾木」へと変えていくのですが、その期間内でも発生条件が揃えば椎茸は生えてきます。 原木の榾化(ほだか)が進み、椎茸の発生準備が整っていること。発生刺激となる寒暖の差があること。そのふたつが満たされると椎茸は自然発生します。 季節は春と秋の年2回。屋外で発生することから虫が付くことが多いのですが、その味は、強制的に発生させたものよりもずっと美味しいかったりするのです。



冷水に浸けられる榾木
冷水に浸けられる榾木

椎茸の自然発生は春と秋にしか見込めないのですが、強制的に発生させることも可能です。 その方法とは、榾木を冷水に浸けること。 そもそも、椎茸菌は「生命の危機」が迫ると子孫を残すために遺伝子を乗せた「胞子」を飛ばすのですが、その役割を持つのがキノコです。 そのため、浸水による窒息と冷水刺激によって疑似的に「生命の危機」を作り出すと、キノコ(椎茸)が発生するというわけです。



成長中の椎茸
成長中の椎茸

榾木に浸水刺激を与えると、早いときは3日くらいで、椎茸の芽は榾木の樹皮を破って出てきます。 最初は小さいのですが、みるみるうちに成長し、1週間弱で収穫できるくらいまで大きくなります。 ちなみに、椎茸の頭の模様は菌種で変わってきますし、生産者の違いでも変わってきます。



収穫できる椎茸
収穫できる椎茸

椎茸の収穫サインは、傘の下にある薄膜が破れはじめたとき。 完全に薄膜が破れて傘が開ききってしまうと、椎茸の味や風味は落ちてしまいます。 薄膜が破れていなくても美味しいのですが、やはり「破れはじめ」が一番かと思います。


休養中の榾木
休養中の榾木

発生の終わった榾木は、次の発生のために休養が必要です。 それは、榾木の樹皮の下に「原基」と呼ばれる椎茸の元を作らせる工程。 水を与えつつ、適度に水を抜いていく。そうすることによって榾木は再び椎茸を発生することができるようになっていきます。



キッチンの椎茸
キッチンの椎茸

スーパーでも売られている新得町産の原木椎茸。 その良し悪しを見極めるポイントは、傘の厚さと開き具合、そして足の色です。 傘は厚ければ厚いほど良質。傘の開き具合は上でも述べたように「破れはじめ」が一番ですが、写真のような「8分開き」ぐらいのものが量と味のバランス的に最良と思えます。 足の色ですが、原木椎茸は足を持って収穫するので、そこが一番先に変色してしまいます。ですので鮮度の見極めには足の色を見ることが重要と思われます。



食材としての椎茸
食材としての椎茸

原木椎茸の一番おいしい食べ方は、やはりグリルで焼くか蒸すことだと思います。 味付けはシンプルに塩のみ。ただ、旨味が濃いので塩が無くてもその味を楽しめたりします。 逆に濃い味付けの料理の中でも、その味が埋もれないのも原木椎茸の特徴だと思います。 油との相性も良いので、イタリアン的にトマトソースで仕上げても良いですし、クリームシチューの具にしても、その存在感は失われません。 結局のところ、「旨み」が最高レベルに高い食材なので、どのように食べてもバランスさえ保てれば、その味を楽しめると思います。



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原木椎茸とは?


椎茸(しいたけ)は日本の食卓に欠かせないものです。

そんな椎茸も、昔は人工的に栽培することができなかったので、松茸よりも価値が高かったとか。 今では、キノコの菌を原木に接種することで椎茸の人工栽培が可能となり、現在では原木も使わず、代わりに「おがくず」を固めたブロックでの人工栽培が可能となっています。

「おがくず」を使って栽培された椎茸は「菌床(きんしょう)椎茸」と呼ばれています。 その栽培方法は、「おがくず」に椎茸の菌を植え付けて行うのですが、同時に栄養源も添加します。 本来は菌が原木を分解して栄養を摂るのですが、菌床栽培ではその原木を分解する時間を短縮できます。 そのため、菌床椎茸は原木椎茸よりも早く収穫することが可能となるのです。

短期間で栽培でき収穫量も期待できる。 そのため、日本に流通する椎茸のほとんどが菌床椎茸となっています。ただ、菌床栽培にも欠点があり、それは栽培のスピードと生産量を求めた結果の「味の低下」です。 キノコに限らず、農作物は栽培の効率化を求めると、どうしても「味の低下」が起きてしまいます。 過度な効率化は目指さず、ゆっくりと成長させた農作物が美味しいということは、椎茸も例外ではありません。

ですので、菌床椎茸よりも原木椎茸の方が美味しいのです。

椎茸菌には人工的な栄養源を摂らせるのではなく、原木の持っている養分を、自らの力で分解させて摂らせる。 そうすることによって生まれた椎茸は、風味豊かで中身の詰まった美味しい椎茸となるのです。

ただ、そんな原木椎茸にも、それなりの栽培スピードを求めることができるようになりました。 昔は原木に菌を植えてから椎茸が発生するまでに約2年の月日が必要でした。 それが今では1年以内の収穫が可能となっています。

その方法とは原木に通常より多くの菌を植え付けるのですが、その菌の形態は「おがくず」に栄養源を混ぜ合わせて培養させたもの。 つまり、小さな菌床を原木に植え付けるわけです。 そして、椎茸は原木に植えられたその小さな菌床から生えてきます。

小さな菌床の栄養源だけで椎茸は発生することは出来ないので、ある程度は原木の養分を使っているのですが、それは100%原木栽培とは言いづらいもの。 ですが収穫までの期間が短くて済むので、この方法で多くの原木椎茸が栽培されています。

一方で、とかちの新得町で栽培されている原木椎茸は約2年の月日が必要なスタイル。 やはり、菌を多く植え付けても、短期間で椎茸を発生させるためには高い気温も必要で、 そこへいくと気温の低い北海道の十勝地方では、その方法が難しかったりするのです。

そのため、昔の長い月日をかけて栽培する方法がとられているのですが、結果として原木栽培の中でも本当に美味しい椎茸が生まれているわけです。 新得町は寒暖の差も激しく、乾燥も強いのですが、その悪環境も椎茸の美味しさに繋がっているのかと。 ミズナラの豊富な地域ですし、大雪山から流れてくる水は美味しくて冷たく、原木椎茸の栽培には適していますし。

そんな新得町の原木椎茸栽培は、生産者の減少から「幻のきのこ」に。
ですが、少量でも日本の流通に乗せるため、残された生産者達は頑張っています。

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カテゴリ: しいたけ | 筆者: kenji | 投稿日: 2017/07/18

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