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新得町の原木しいたけ

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

まいにちの暮らしの中にも、より良いものを入れていきたい。

ものが溢れているこの時代、そう感じる方も多いのではないでしょうか。 「特別な日は、特別なものに囲まれて」。 もちろん、それもすてきなのですが、まいにちの暮らしも疎かにせず、大切にしていきたいものです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

こころ休まる生活空間を。
自分を好きになれる衣服を。
そして、おどろきやよろこび、健康、安心を与えてくれる食事を。

そんなちょっといい衣・食・住を求めてもいい時代になったと思います。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

原木で育てた「しいたけ」は、市場で多く出回っているものよりも「良いもの」です。

でも、栽培に手間と時間のかかる「原木しいたけ」は希少性が高く、街のスーパーやデパートでは、置かれていないことも珍しくありません。

市場で多く出回っているものは「菌床しいたけ」。小売店はその違いを表示する義務があるので、こんど売場で確認してみてください。 ほとんどのしいたけには「菌床」の文字が入っていると思います。

「原木しいたけ」と「菌床しいたけ」の違い

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

菌床しいたけは、原木を細かく砕いた「おがくず」に、栄養源として「ふすま」や「こめぬか」などを添加させ、ブロック状に固めたもので栽培されたきのこです。

収穫までの日数が短いこと。ブロックの扱いが容易なこと。自然環境に左右されない栽培方法が可能なこと。 どれをとっても「原木しいたけ」よりも生産効率がいいので、国内のしいたけ農家さんの9割以上が、「菌床しいたけ」を選んでいるというわけです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

一方で、「原木しいたけ」は名前のとおり、原木を使って栽培します。 原木に菌を植え付けてから収穫まで1~2年の時間が必要なこと。原木の扱いは重労働なこと。自然環境に左右されやすい栽培方法なこと。

そのため、ほとんどの農家さんが「原木しいたけ」の栽培から離れていきました。それくらい「原木しいたけ」の栽培は大変なのです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

それでも「原木しいたけ」を栽培する意味はと聞かれたら、答えは想像されているとおりで、味がおいしかったりするのです。

菌床しいたけも、原木からつくられた「おがくず」で栽培されているのですが、栄養源の大部分は原木ではなく「ふすま」や「こめぬか」です。 「しいたけ菌」が酵素をつかって原木から栄養をとるには時間がかかるのですが、「ふすま」や「こめぬか」などからは短時間で栄養をとれます。

それが収穫までの日数が短いことにつながるのですが、やはり栄養源の違いは「しいたけ」の味にも大きくかかわってきます。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

また、自然環境に左右されない栽培方法ですと、しいたけの成長もスムーズに速くすすむのですが、味の成熟はおいてけぼりなことも多く、そこは他の野菜と同じ。

「原木しいたけ」のように無理なく自然に育てられた農作物は、味もおいしいのです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

ただ、収穫までに時間がかかることは、自然界ではふつうなこと。

無理なく、自然に、ふつうに。 そうして育てられた「原木しいたけ」が特別においしいのではなく、本来の味をたのしめるだけであって、 ちょっと生産効率をあげた「菌床しいたけ」が変り者だったりするのです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

それでは、すべての「原木しいたけ」が「菌床しいたけ」よりもおいしいのかと思ってしまいますが、そうでもなかったりします。

「原木しいたけ」だから美味しいとは限りません

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

「菌床しいたけ」も、おがくずの元となる原木の選定にこだわりを持ち、栄養源も自然栽培されたものを使う。 薬品類はあまり使わずに、時間と手間を惜しまず栽培する。

そうして育てられた「菌床しいたけ」は、オーガニック認証を取得されているものもあり、味もおいしいです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

一方で、たしかに「原木しいたけ」はおいしいのですが、生産効率を高める技術もあるため、栽培方法によっては味が犠牲になることもしばしば。

ほかの農作物と違い、無農薬でもそこそこの収穫量が見込めることから、「原木しいたけ」という言葉に、自然栽培やオーガニック食材のイメージを持ってしまいますが、 認可されている農薬や、「増収剤」とよばれている生産効率をあげる薬品も存在するように、 「原木しいたけ」であっても自然栽培とはイメージしにくい方法でつくることも可能で、味がおいてけぼりになることもあるのです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

きほん的には「菌床しいたけ」よりも「原木しいたけ」の方がおいしいですが、 生産効率を高めた「原木しいたけ」は、手間暇かけてつくられた「菌床しいたけ」に負けてしまいます。

でも、手間暇かけてつくられた「原木しいたけ」は、限りなくていねいに作られた「菌床しいたけ」に決して負けません。 やはり、よりおいしくなれる可能性については「原木しいたけ」の方が圧倒的に上だったりするのです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

わたしたちは、世界で最もおいしいしいたけの栽培に挑戦します。

「菌床しいたけ」ではなく「原木しいたけ」の栽培を選んだ理由はそこにあります。 近年では「原木しいたけ」が「良いしいたけ」とされ、また「大きさ」もその基準とされることが多いですが、 その風潮に縛られることなく、世界で最もおいしいしいたけの栽培に挑戦していきたいと考えています。


「原木しいたけ」のつくり方

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

「原木しいたけ」の栽培は秋からはじまります。

栽培に使用する原木はクヌギやナラの木。ドングリの実をつける広葉樹を利用します。 ドングリは「椎の実(しいのみ)」とも呼ばれ、つまり、椎の木から生える茸(きのこ)が、「椎茸(しいたけ)」の名前の由来です。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

ただ、南北に長い日本では、地域によって自生する椎の木の種類も変わるので、しいたけ栽培に使用する原木の種類も変わってきます。

九州ではクヌギが多く、関東ではコナラ、 そして北海道ではミズナラが多く使われています。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

葉っぱの落ちる10月ごろ、北海道は十勝の新得町でも、ミズナラの木の切り出しがはじまります。

原木の太さは直径6~10cmくらいが理想的なのですが、4~20cmくらいが許容範囲。 そこから生まれるしいたけの味に、原木の太さはほとんど影響ないのですが、原木の寿命と扱いやすさを考えると、やはり6~10cmくらいが理想的です。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

ちょうどいい太さのミズナラの木を倒していくのですが、切株は残しておきます。

そこから再び芽を出して、数年後には立派なミズナラの木に戻るので。 それは「萌芽更新(ほうがこうしん)」とよばれる現象で、木を倒しても、根は生き残り、森も生き続けます。

また、再び成長したミズナラの木は、しいたけ栽培の理想的な太さになることも多いので、その理由でも切株は残しておきます。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

それは理想的な「森の循環」のひとつなので、「原木しいたけ」を栽培するということは、今の日本が抱える「里山問題」を解決するひとつの方法でもあるのです。

また、「原木しいたけ」の栽培に使う原木は、樹皮がきれいに残っている必要もあります。

原木の中を乾燥から守る役割と、しいたけの元になる「原基」と呼ばれるものがつくられる場所の確保。それらを原木の樹皮は担っています。 そのため、伐採や運搬に重機を使うことはできず、そこにも「原木しいたけ」の栽培の大変さがあるのです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

機械化の進んだ林業は、たしかに効率がよく、安全で重労働から解放された部分も少なくありません。

ただ、あまりにも機械化されたため、重機のオペレーター的な職業になりつつもあるそうです。

加えて、山を丸裸にしてしまうような「全伐」といった刈り方もあるので、 若い人が憧れる「森を守る」といったイメージが今の林業には少なく、それが次世代の担い手不足の原因にもなっているそうです。

そこへいくと、「原木しいたけ」のための伐採は、「森を守る」というイメージに合ったもの。 将来的には、これを本職とする林業が盛んになることも願っています。


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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

秋に森から切り出した原木は、冬の間に適度に乾燥させ、春になったら「しいたけ菌」を接種させます。

それは「植菌」と呼ばれる作業で、90cm前後に切りそろえた原木に、直径1cmくらいの穴を40個くらい開け、そこに「しいたけ菌」を繁殖させた「おがくず」を詰めていきます。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

むかしは「おがくず」ではなく「木駒」が主流でした。

この変化も、栽培の効率化を目指したもので、よりはやく収穫を迎えることができるようになりました。 ただ、この変化も「しいたけの味にも影響がある」との声もあり、むかしながらに「木駒」で植菌されている農家さんもいらっしゃいます。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

でも、それは時間が解決してくれること。

「おがくず」を詰めた原木でも、焦ることなく、長い時間を持ってから収穫したしいたけはおいしいです。 むしろ、「木駒」よりも「おがくず」で植菌した方が、熟成期間は長くとれます。

そう考えたので、よりおいしいものをつくるために、わたしたちは「おがくず」を植菌する方法を選びました。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME NEOPAN 100 ACROS

「おがくず」を植菌するうえで、気を付けることは乾燥による「しいたけ菌」の死滅です。

「おがくず」は乾燥しやすいため、はやくに「しいたけ菌」が原木へ移っていくことを願います。 そのためにすることは、植菌後の原木に散水することと、防湿シートで包んであげること。

植え付けた「おがくず」から原木へと、「しいたけ菌」が伸びていくまでは保湿のためにシートで包んであげます。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME NEOPAN 100 ACROS

これは「仮伏せ」と呼ばれる工程で、植菌直後から原木に「しいたけ菌」が充分に伸びるまで行われます。

「仮伏せ」の適温は17℃。菌の最適な活動温度より少し低めなのですが、原木から栄養を摂るのではなく、菌が伸長する工程なので、17℃が最適というわけです。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

原木の中を菌が伸長し、切り口に到達すると、「菌紋」と呼ばれる白い模様が表れます。

それは「仮伏せ」の終わりと、次の工程となる「本伏せ」をはじめてもいい合図。 風通しよく、適度な湿度を保てるように、森の中に原木を組んでいきます。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

「本伏せ」は、原木の中に「しいたけ菌」を行きわたらせ、養分を摂らせる工程です。

これは原木の「榾化(ほだか)」と呼ばれる変化を促す工程で、そのために行うことは、 定期的な散水で乾燥を防ぐとともに原木の中の水を抜くことと、45日くらいの時間を挟んで、原木をひっくり返す(天地返しする)こと。

森の中だと、放っていおいても榾化はすすむのですが、散水と天地返しを行うことによって、よりよい榾化のすすんだ原木、つまり「榾木(ほだぎ)」となるのです。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

この散水と天地返しも栽培効率の向上を目指したものなのですが、これだけは味の向上にも繋がります。

ただ、行わなくても「原木しいたけ」の栽培はそこそこ出来るので、ついつい疎かになりがち。 時間も労力も必要ですし。でも、「仮伏せ」と「本伏せ」で、「原木しいたけ」の栽培の良し悪しの90%が決まってしまうのです。


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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

榾化の進んだ原木からは、春と秋になると、しいたけが自然に生えてきます。

春子や秋子、自然子と呼ばれるしいたけは、 充分な水分と、寒暖差による刺激がきっかけとなって、原木の樹皮を突き破り生まれてきます。 ちいさな芽のような赤ちゃんしいたけ。あたたかい日が続けば1週間ほどで立派なしいたけとなります。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME NEOPAN 100 ACROS

自然な刺激で生まれたしいたけは、おいしいとされる一方で、自然環境下のため、虫が入っていたり、乾燥でひび割れたり、雨に濡れて旨味が飛んでしまったりもします。

そのため、おいしい自然発生しいたけは、希少なこともあり、市場でも重宝されています。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME NEOPAN 100 ACROS

「原木しいたけ」は自然発生だけではなく、強制的に発生させることも可能です。

榾化のすすんだ榾木を冷水に浸水させる。そうすることで、冷たさと窒息の刺激を与えます。6~10時間ほど。 すると、水から上げて適切な温湿度を保った環境に置いておくと、1週間ほどでしいたけの収穫が可能となります。

夏や冬はもちろんのこと、一年を通して市場に出回っている生の原木しいたけは、こうやって栽培されています。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

収穫の終わった榾木を、もういちど浸水させると、ふたたびしいたけが生えてきます。

ただ、2~3回目以降は浸水してもしいたけは生えてこず、次の発生のためには「休養」と呼ばれる工程が必要となります。 高温多湿な環境で45日くらいの間、榾木を休ませます。 定期的な散水も必要で、うまく行うと、ふたたび浸水刺激で、しいたけを発生させることができるようになります。

このように、1本の榾木からは何回も「原木しいたけ」を発生させることが可能で、上手につくられた榾木は15回以上の収穫が見込まれたりもするのです。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

そして、しいたけが出なくなった榾木はすかすかとなり、冬の薪となります。 灰となった榾木は、融雪剤として使ったり、土壌改良剤として畑に撒かれ、土にかえります。

ここまできて「森の循環」は完了するのです。

新得町で作られている原木椎茸の特徴

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

雪解けの季節になると、どこからか『木槌』のうつ音がきこえてきます。刻みよくコンコンと。 それは原木に『しいたけ菌』を打ちこむ作業から生まれるもの。昔の人はそれをきいて春を感じていたのかもしれません。

というのも、木槌を使って『しいたけ菌』を打ちこむ作業も、今は昔。 ちょっと前までは『しいたけ菌』が染みこんだ『駒』と呼ばれる木片を、ドリルであけた原木の穴に『木槌』で打ちこんでいましたが、 すこし前からは、『しいたけ菌』を繁殖させた『おがくず』を、手や専用の道具をつかって穴に埋め込んでいます。今ではそれが主流となりました。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME NEOPAN 100 ACROS

原木しいたけの栽培風景も、ここ数十年でかわりました。

それは新得町で行われている原木しいたけの栽培とて例外ではありません。 ただ、本州、四国、九州はもちろんのこと、道内の他の原木しいたけ産地と比べれば、新得町のそれは昔の姿を留めている部分も多いです。


「原木しいたけ」の産地としての条件

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smc PENTAX67 105mm F2.4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

道内における原木しいたけの産地は、道央や道南など、比較的温暖な地に集まっています。

気温は高く、雪も少ない。 そんな環境は食物の栽培に適していますが、それは原木しいたけにも当てはまること。 通常の野菜とは栽培方法が大きく異なる原木しいたけですが、その部分は共通しているのです。

以前は、原木に『しいたけ菌』を打ち込んでから、実際に『しいたけ』を収穫するまでに2年半の時間が必要でした。 それが今では1年もかからず収穫を迎えることも可能となりました。 そのため原木に『しいたけ菌』を打ち込む『植菌』は、年明けからはじめる農家さんも多いです。 その場合、作業は暖房の効いたビニールハウス内で行われ、その後の原木の管理もビニールハウス内で行われます。

本来は4月から10月くらいまでの春と夏の気温を使って『しいたけ菌』を育てるのですが、ビニールハウスを使うことによって人工的な高温を確保し、長い育成期間を稼ぎます。 そうすることによって1年未満での収穫を可能とするわけです。 全ては技術革新の恩恵なのですが、それでも『気温は高く、雪も少ない』という環境が今でも重要であることは変わりません。

より美味しいものを求めて

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smc PENTAX67 105mm F2.4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

十勝は寒いです。 雪の量も道南地方に比べれば多いです。

山間部に近い新得町では尚更。 そのため町内では、植菌から一年以内に収穫される『しいたけ』は少なかったりします。 大規模な生産施設があれば可能なのかもしれませんが、残念ながら新得町にはありません。

ですので町の生産者さん達は、今でも昔ながらの方法で『しいたけ』を作っています。 それは土地の気候による『諦め』もあるのですが、それ以上に昔ながらの方法で作った『しいたけ』の方が美味しい、という理由もあります。

生産効率を求めた結果、植菌から1年未満での収穫も可能となった原木しいたけ。 その代償に『味の劣化』も少なからず存在すると言われています。 『寒さで効率の良い生産が出来ないのであれば、いっそうのこと手間暇をかけて美味しい原木しいたけを作ろう』。 それが新得町と他の地域との違いです。

市場に流通する『しいたけ』は、『菌床しいたけ』の割合が大きくなり、『原木しいたけ』の数は減少。それは生産者が少なくなったからです。 そのため近年では、その希少性から『原木しいたけ』の価値は大きく上がりました。 より美味しいものを求める方達や健康志向な方達からの需要も増えています。

そのため『原木しいたけ』の生産は、より効率化を求められ時代となり、他地域の生産者さんとの情報交換も大切になりました。 そこで顕著となったのは『地域の特徴』。 新得町のそれは『美味しさの追求』であり、他地域の『生産効率の追求』とは違うものでした。

「原木しいたけ」の旨さとは?

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smc PENTAX67 105mm F2.4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

『原木しいたけ』はおいしいです。

和食は『だしの文化』といわれていますが、その一角を担っているのも『しいたけ』。 かつおだし、こんぶだし。 それと並ぶように『しいたけ』から生み出される味が、和食を支えています。

それは科学的にも証明されていること。 人の感じられる『味』には5種類あり、それは甘味、塩味、酸味、苦味、そして旨味があるのですが、その『旨味』を感じられる成分は和食のだしに多く含まれています。

グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸。 この3つが旨味を感じられる成分なのですが、それぞれの旨味は少しづつ違い、それらを組み合わせることで味わい深い和食を構築しています。

グルタミン酸は『かつお節』に多く含まれています。イノシン酸は『昆布』に。そしてグアニル酸は『乾燥しいたけ』に多く含まれています。 このグアニル酸は、他の食材に含まれてることは少なく、ほぼ『乾燥しいたけ』でしか味わうことができません。

また、『生しいたけ』にはグルタミン酸も多く含まれているので、唯一でないにしろ、やはり和食には欠かせません。 それらが、『しいたけ』が和食を支えていると思える理由です。

それは『菌床しいたけ』にも言えることなのですが、後世に伝えたい和食の姿を考えたとき、そこでは昔ながらの方法で作られる『原木しいたけ』を想像してしまいます そう考えれば、より自然に近い方法で作られている『原木しいたけ』を、新得町で作られている『原木しいたけ』を、 後世に伝えていくことには大きな意味がるのではないでしょうか。

「原木しいたけ」がもたらす森の循環

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smc PENTAX67 105mm F2.4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

そして『原木しいたけ』の生産は、『森の循環』を生み出します。

山から切り出したミズナラは、榾化させられ『しいたけ』を生み出し、最後は薪として活用され、残った灰は土へと帰る。 それは森林伐採を伴う環境破壊にも見えますが、そうではなく、森を維持するためには最良なことだったりします。

一度でも人間の手の入った森は、ずっと管理する必要があります。 つまり間伐や全伐、植林を経て、森はその機能を保ちます。 次の世代でも森であることはもちろんのこと、二酸化炭素の吸収、偏りのない生態系、土砂崩れの防止、『水がめ』としてのダム的な役割。 その機能を保つためには、適切な森の管理が必要なのですが、『原木しいたけ』の生産用にミズナラを切ることも、適切な森の管理に当てはまります。

ミズナラには『萌芽更新』という性質があるので、切株を残しておけば、そこからまたミズナラは生えてきます。 ですのでミズナラの森は一瞬も死ぬことなく、その機能を保ち続けることができるのです。

新得町の紹介

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新得町は北海道のほぼ中央に位置する地域です。

町の面積は東京都の23区よりも大きいですが、その9割は森林地帯。 北部には大雪山系の2,000m級の山々が連なる一方、南部にはなだらかな丘陵地帯が続き、平野部には住宅地を含む街並みの他、家畜の放牧地や農産物を育てる耕地も広がっています。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

北部の山岳地帯を構成する山々のひとつ「トムラウシ山」は、日本の百名山にの選ばれています。

標高は2,141mですが、緯度の高い北海道では、その厳しさは本州の3,000級の山に匹敵するといわれています。 「トムラウシ山」は噴火によって生まれた山で、頂上付近は荒涼とした岩場と高山植物、点在する池、そして夏でも存在する残雪がおりなす景色が広がっています。 その絶景は、多くの登山者が憧れる風景となっています。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

そんな高山地帯に広がる森林は、日本に現存する数少ない秘境のひとつ。 どこまでも広がる深い森林地帯には、ヒグマやエゾシカをはじめとする多くの野生動物が住んでいます。

そして町を流れるサホロ川と十勝川は、そんな北海道の屋根とも呼ばれる大雪山系から流れ込んだもの。 川の水量は豊富で、そこに住む多くの動植物にとって、それは命の源となっています。

また、新得町の丘陵地帯を創ったのもサホロ川と十勝川。長い年月を掛けて浸食された地形は河岸段丘となってます。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

街の中心は南方のJR新得駅周辺です。

そこは役場などの公的施設が集まる街ですが、駅から東へ進んだ場所にある屈足(くったり)地区にも街はあります。 そして、山間部にある富村牛(とむらうし)地区にも、集落はあります。


新得町へのアクセス


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smc PENTAX67 300mm F4 / FUJICHROME NEOPAN 100 ACROS

東京から新得町へアクセスするには、航空機と汽車を利用する方法があります。

東京の羽田空港から北海道の新千歳空港までの飛行時間は約1時間30分。 新千歳空港から新得駅まではJR北海道の特急を利用して約2時間。 ただ、汽車の本数が少ないことと、乗換えの時間を加えると、もう少し時間はかかるものと思います。

新千歳空港から新得町までをレンタカーで移動する選択もあり、その場合は道東自動車道を使うと、それも2時間程で到着できます。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

また、「とかち帯広空港」を使うと、羽田空港からの飛行時間は同じく約1時間30分。

ただ、空港には汽車がアクセスしていないので、バスで帯広に出てから汽車に乗るか、空港でレンタカーを借りて新得町を目指す必要があります。 レンタカーを利用すれば、帯広空港から新得町までは約1時間で到着できます。

基本的には道外からのアクセスですと新千歳空港を利用した方が便利ですが、東京以外の地方空港から「とかち帯広」空港への直行便がある場合は、その方が便利だと思います。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

札幌から新得へのアクセスは、クルマですと高速道路を使って約2時間30分。 特急ですと約2時間20分です。 ちなみに、新得駅には特急も停まるので、札幌駅からですと乗換えは不要です。


新得町の気候


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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

緯度の高い北海道にある新得町の気候は、夏は涼しくとも、冬の寒さは厳しいです。 最低気温の平均は、東京と比べると10℃ほど低く、真冬には-20℃を下回る日も。そのため東京より冬は3ヶ月ほど早く、春は3ヶ月ほど遅く、季節は訪れます。

それでも、寒い十勝エリアの中では新得町は比較的温暖な地域です。町の西側にある日高山脈により、真冬でもフェーン現象が発生するので、周りの地域と比べれば気温も高い方となります。

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smc PENTAX67 165mm F2.8 / FUJICHROME NEOPAN 100 ACROS

そのためか、特別豪雪地帯にも指定されている新得町ですが、街の中心部の積雪量はそれほど多くなく、札幌と比べても誤差範囲の数値です。


新得町の歴史


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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

新得町の歴史は古く、地域には縄文時代のアイヌ文化と思われる遺跡も残っています。

「新得」の名前の由来は、諸説ありますが、アイヌ語で「山の端」を意味する「シットク・ナイ」から来たと言われています。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

江戸時代、徳川幕府の直轄領になったのは1799年のこと。

第11代、徳川家斉将軍が日本を治めていたときでした。 それ以来、数人が住み着くことになり、明治に入ると、日本の官庁である北海道開拓使の管轄となりました。

その後、管轄は時代と共に変わるものの開拓は進み、1907年には狩勝トンネルが完成し鉄道が開通。新得駅も開業されました。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

1931年には、十勝平野と富良野盆地を結ぶ、後の狩勝国道が開通。 発展は進み、1960年には人口が13,000を超えました。

そして2016年現在、町の人口は6,000人超となっています。


新得町の産業


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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

主に第一次産業が盛んです。

農業ではソバが全国的にも有名で、「新得そば」のブランドも確立されており、その生産量も年間300tを超えてます。 酪農も盛んで、町で飼育されている牛の頭数は、住んでいる人口よりも多いとか。 また、町の面積の90%を占める森林を活かし、林業も盛んです。

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smc PENTAX67 45mm F4 / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

その他、地鶏やジビエなど、魅力的な産業を数多く抱えています。

近年は観光業も進んでおり、新得町の気候や土地の利を活かした体験を楽しむプログラムも数多く用意されてます。


新得町の観光


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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

山の景色や登山を楽しみたいなら、トムラウシ山や十勝岳がおすすめです。

火山地帯ということで温泉も湧いています。源泉温度が100℃近いトムラウシ温泉は、湯量も豊富。そこは北海道屈指の秘境温泉です。

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smc PENTAX67 75mm F2.8AL / FUJICHROME PROVIA 100F RDPⅢ

十勝川の渓流ではラフティング、サホロ・スキー場ではスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツも。

サホロリゾートや、地中海クラブのバカンス村などの宿泊施設もあるので、リゾート体験ができるのも新得町の特色です。

また、農業や酪農が盛んなので、その体験プログラムも数多く用意されてます。

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カテゴリ: しいたけ | 筆者: kenji | 投稿日: 2017/07/18
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