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リスクを麻痺させる写真の魔力は怖い

フィルム写真

上の写真は、和歌山県の千畳敷で撮ったもの。

奈良へ移住後、初の車中泊は紀伊半島の先端を目指したときに訪れました。 場所は南紀白浜。そにある千畳敷は規模は小さいものの、今までに見たことも無い景色が広がっていました。

大海原を見渡せる天然の展望台は乳白色の岩の上。 足元の柔らかい砂岩は、長い年月、波の浸食を受けて滑らかに。 そんな景色に写欲を強く刺激されました。

そこで撮った写真が、「お気に入りの一枚」となったわけです。

写真リンク: Smooth rock l 67 PHOTO

ここは、けっこう危険な場所でした。

千畳敷の「砂岩」はツルツルでないにしろ、ゴツゴツ感はなく、砂も浮いているので、足を滑らす恐れも。 高さもあるので、落ちたら痛いかと。痛いで済めばいいかと。 そのため上の写真も、恐る恐る岩の端で撮った写真だったりします。

考えてみれば、この状況は怖いもので、それは「危険と隣り合わせの撮影」という意味ではなく、写真のために「危険なリスクをとろう」とする気持ちが怖い。 普段なら近づかないような場所でも、写真のためなら進んでしまう。 そんな心理状況に陥ってしまうことが怖いのです。

それは人の特性かと。

そして、これは写真に対して特段の興味を抱かない人でも陥るもの。 登山中に転落事故死した方のカメラには、「最後の一枚」として崖の上の写真が残されていたなんて話も。 他にも「写真を撮ってる時間があれば逃げればよかったのに... 」と思わせる「最後の一枚」を残された方も。

そんな写真は、危険なリスクと引き換えに得られた写真ですが、それを撮ったのは、写真に命を懸けている方ではないということ。 そんな「覚悟」を持っていない普通の方でも、写真を撮れるカメラを持っていれば、一眼レフでなくともコンデジやスマホを持っていれば、そんなリスクをとってしまうのかと。

第三者からしてみれば、写真のために生死に関わる危険なリスクを負うことは不思議なのですが、そこには当事者にしか分らない心理状況があるのかと。 そして、それは特定の人だけが持つ心理ではなく、誰もがその場へ行けば抱く可能性のあるもの。 そう考えると、いくら冷静な判断をしていると自分で思っていても、その場へ行けば、知らず知らずのうちに「危険なリスクをとろう」としてしまう。それが怖いのです。

この心理現象は、「危険なリスク」だけではなく、他のリスクも軽視してしまうものかと。

もしかしたら、いわゆる「撮影マナー」を守らない方も同じ心理状況に陥っているのかと。 普段は礼儀やマナーに厳しい方でも、写真の撮影となるとそれも破ってしまう。 それは誰かに対して迷惑を掛ける行為なので「リスク」ではないのですが、一方で、社会的な信用や地位を失うこともあるので、その部分をみれば「リスク」。 そんな「社会的リスク」を負うことよりも、写真を撮ることを優先させてしまう「力」が、写真にはあると思うのです。

つまり、「万引きは犯罪」と考えている人でも、農地に不法侵入して写真を撮ってしまう。

もちろん、そんなルールを守らない人を擁護するつもりは一切ありませんが、この問題を解決するためには、そこから紐解いていく方法もあるかと。 ルールを守らない人は「特殊な人」ではなく、誰もがルールを破ってしまう可能性を持っていると。

そうも思っているので、やはり「千畳敷」は怖い場所だと思うのです。

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カテゴリ: 写真 | 筆者: kenji  | 投稿日: 2017/12/11

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