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「適正露出」という言葉に覚える違和感の正体

フィルム写真

上の写真は、札幌市にある「北海道開拓の村」で撮ったもの。

そこは、ノスタルジックな家屋を含めた古い建物を、保存と展示の目的で一同に集められた場所です。 広い敷地に点在する建物は多く、全てをまわるのは大変。 ひとつひとつの建築物はどれも個性的で、写真目線で見れば写欲はどこまでも尽きません。

参考: 北海道開拓の村

規則正しい幾何学模様でデザインされた古民家の居間には、太陽からの直射光は入らず、窓からの淡い反射光でのみ照らされています。 それが生み出す「アナログな光のグラデーション」と「人工物なデジタル風景」のコラボレーションが美しかったのです。

この日も手持ち撮影。
光が弱いので、手ブレとの戦いに。
この日のベストショットは、それに勝ち得た1枚だったわけです。

写真リンク: Living Hearth l 67 PHOTO

※写真は掲載許可済みです。

この手の写真を作るうえで難しいのは「露出の選定」かと。

おそらく、カメラ任せの露出で撮れば、もっと明るい写真になったかと。 それは、部屋の隅々まで確認できるほどの明るい写真。ワンポイントになっている「きゅうす」の輪郭もはっきりすると思います。

そのような写真を求めるならカメラ任せの露出が「適正露出」なのかも知れませんが、 少なくとも、このときのぼくの求める写真では、それは「適正露出」ではありませんでした。

ぼくが撮りたかったのは「居間の詳細」ではなく、あくまでも光のグラデーション。 なので、部屋の奥が「黒潰れ」してもかまわないですし、「きゅうす」の輪郭が曖昧でも構いませんでした。 淡い光のグラデーションが写る露出が、ぼくの中での「適正露出」だったわけです。

そもそも、写真の中には光量の違う場所がいくつもあるわけで。 「露出が難しい」というのは、結局はフレームの中のどこに「それ」を合わせるかを迷うことであって、いわゆる「適正露出が分からない」ということとは違うと思います。

そう考えると、「適正露出」という言葉自体に違和感を覚えるのです。

ちなみに、上の写真では右の座布団辺りに露出を合わせました。 うろ覚えですが。 そこに露出を合わせることによって、淡い光のグラデーションを写真に落とし込んだつもりです。

カメラの設定は、AEは「絞り優先」で一段絞りのF4。
測光はスポットで、右の座布団あたりでロック。

ぼくは、この撮り方が好きで、そこには「適正露出」の概念もありません。
露出補正ダイヤルも触りません。

これがぼくの中での一番楽しい写真の撮り方だったりするのです。

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カテゴリ: 写真 | 筆者: kenji  | 投稿日: 2017/11/30

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