一眼レフとコンパクトを比べるとき、「ボケの量」が語られることが多いです。
たしかにデジタルの一眼レフ機のイメージセンサーは大きいので、コンパクト機よりも「ボケの量」は期待できます。
でも、フィルムの場合は、一眼レフ機でもコンパクト機でも使うフィルムの大きさは大抵同じ。
110フィルムカメラやハーフサイズカメラ等もありますが、「写ルンです」とフラグシップ機でも、同じサイズの35mmフィルムを使っていたりします。
ただ、一眼レフ機は、大口径の「明るいレンズ」のラインナップも多いですし、
レンズからイメージセンサーまでの距離を稼ぐことが容易なので、その効果でも「ボケの量」は期待できます。
そう考えれば、やはり一眼レフ機は「ボケの量」を期待できるカメラなのかと思ってしまいます。
そんなわけで、一眼レフ機の絞り開放で撮れる写真は、「よくボケた写真」になるのですが、それが「絞り開放」の良さかというと、少し疑問が残ります。
「絞り開放」で撮る良さは、やはりレンズの「味」が出ることだと。
「味」と言えば聞こえは良いですが、要はそのレンズの不完全なところ。
ただ、その完璧ではないレンズで撮った写真に、真実ではなく少しのファンタジー性を感じてしまい、それが気持ち良かったりするのです。
それでは粗悪なレンズの方が良いのかと、そう思ってしまいますが、そこは違って、
あくまでも完璧を目指した結果の高性能レンズ、そこからこぼれ落ちる微量の不完全なところに「味」を感じるのだと。
ライカやハッセルブラッドのレンズが多くの人に愛されている理由もそこだと思います。
そこへ行くとペンタックスのレンズ群は少々負けてしまうのかも知れません。
ブランドの力だけかもしれませんが、ぼくもハッセルブラッドには憧れてますし。
それでも中判のPENTAX67は良いカメラだと思っています。
フルサイズ機のイメージセンサーの大きさはおよそ24mm×36mm。
中判デジタルだと40mm×50mmを超えるものもあります。
それに対してPENTAX67のフィルムの大きさは55mm×70mm。
同じサイズの写真に縮小すると、レンズの「味」の潰れ方も変わってきます。
デジタルとフィルムなので比較にはならないのですが、それも「別もの」な証拠。
ですので、PENTAX67で、中判フィルムで開放撮影した写真は、良し悪しとは別にデジタル機とは違う画が得られると。
それをぼくは好きだったりするのです。
いつの頃か、「初心者からの卒業」と思って辞めていた絞り開放での撮影。
たまにそんな撮り方を気分転換がてらにしてきたこともあるのですが、最近、またそこへ帰ってきました。
フィルム写真はまだまだおもしろいです。
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