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「グラブショット」という撮影スタイル

フィルム写真

写真をやっていると、日常にも「きれい」なものが溢れていることに気づかされます。

慣れ親しんだ風景は日常となり、それが「きれい」かどうかと考えることもなくなります。 家の中のドアノブ。キッチンの戸棚に積み上げられたお皿。洗面台の蛇口に着いた水滴。 通勤路で踏み避けていたマンホール。その脇の石ころ。

それは日常の風景として毎日目にしているものです。いちいち「きれい」かどうかなんて考えません。 ですが、写真目線で眺めてい見ると、案外、良い被写体と思えてしまいます。

ただ、そんな「きれい」は万人うけしません。 誰かに伝えても共感してくれないことは多いです。 どうしても誰かに共感してもらいたいなら、それは伝え方次第だと、写真の腕次第だなと思うのです。

考えてみれば、写真目線で感じる「きれい」は長続きしません。突然やってきては去っていく。そのスピードは速いです。 つまり「きれい」に気付いても、すぐに日常という感情の波で洗い流されてしまう、ということ。 それも写真目線でいられる集中力の時間だとは思うのですが、写真でそれを伝えたいなら、その一瞬にシャッターを押す必要があると思ってます。

そのためか、街の景色はもちろんのこと人物でも、スナップショット的なスタイルで撮る方が多いと感じています。 自分の感じた一瞬の「きれい」を素早く撮影する。 そう考えれば撮影スタイルがスナップショット的になるのも頷けます。

一方で、ぼくのスタイルはスナップショット的ではありません。

どこかで聞いた話なのですが、一瞬のスナップショットとは違い、少しの時間が必要となる撮影方法を「グラブショット」と呼ぶそうです。 写真における「スナップショット」の語源は狩猟用語の「早撃ち」から来ていると言われていますが、「手首の力だけで撮る」という意味もあるとか。 語源の真偽は置いときますが、その「手首の力だけで撮る」という「スナップショット」に対して、「がっちり握って撮る」手法を「グラブショット」と呼んでいるそうです。

ぼくの撮影スタイルは、この「グラブショット」だと思っています。

ですので、瞬間の「きれい」は逃がしていると。 その代わりに、「きれい」を深堀して追求していると思っています。 一瞬感じた「きれい」の出所を探り、それをメインに据えて、余計なものはフレームアウトさせていく。 そのときには最初に感じた「きれい」も消えているのですが、そんな工程が気持ち良かったりもするのです。

ただ、「スナップショット」と「グラブショット」を比べたとき、お互いに一長一短があるので「どちらが優れているか?」ということではないと思うのですが、 できれば両方を使い分けられる人になりたいと思っています。 なぜなら「スナップショット」を極めた人の撮影はカッコいいから。

AFキャンセルの機械式レンジファインダー機で、カメラを構える前から目視で被写体までの距離感を把握し、カメラを見ずにリングを回してピントを合わせる。 もちろんノーファインダーで瞬間的に構図をきめつつ、手ブレを起こすことなくシャッターを切る。「撮る」と思ってから1秒未満で全てが終わる撮影スタイル。 そんな神業とも呼べる「ライトニングショット」とでも呼びましょうか、撮影スタイルには憧れていたりもします。

ただ、「グラブショット」的なスタイルも、ぼくらしさを生み出してくれる「もの」のひとつに今後なってくれるのかもしれませんので、それはそれで大切にしていきたいとも思ってます。

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カテゴリ: 写真 | 筆者: kenji | 投稿日: 2017/09/09

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