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オールドファッションが現役で戦うために必要なことは「ネットからリアルへの流れ」

フィルム写真

フィルム写真のような「古き良き時代のもの」を活用するには、ふたつの方法があると思います。

■ 長所を活かして戦う

ひとつは、現役に負けない長所を利用して勝負する方法。

デジタルカメラで創られた写真と比べて、フィルム写真が劣るポイントはコストとスピード、そして写真を創る上での自由度の狭さです。 それに対しての長所は、大判写真の緻密さ(超高解像写真)と、アナログ的にプリントしたモノクロ写真のグラデーション。 この長所を活かせれば、現役でもフィルム写真は負けないと思います。

現に、マイケル・ケンナさんやハービー山口さんの、手焼きされたモノクロ写真はすばらしく、デジタル全盛の今でも、世界を魅了し続けています。 また、アンドレアス・グルスキーさんの作品も、フィルムの大判カメラで撮影されたものを元に創られています。 当時、話題となった「3億円」の写真も、フィルムで撮られた写真をデジタル加工して創られた作品です。

このように、フィルム写真のようなオールドファッションでも、長所を活かせば、現役のトップクラスでも活躍することは可能なようです。

参考: Michael Kenna

参考: HERBIE YAMAGUCHI OFFICIAL WEBSITE

参考: Andreas Gursky | PHOTOGRAPHER | IMA ONLINE


■ 「オールドファッション」というブランドを利用する

もうひとつの方法は、「古き良き時代のもの」という背景を利用するもの。

現役を退いたことで生まれた希少価値。
昔を懐かしむことのできる歴史的価値。
不便さを楽しめる嗜好性の高い道具としての価値。
「流行もの」にはないクラシックな雰囲気がもたらす価値。

このような、「もの」の背景にある価値を前面に出して勝負していく方法も、あるかと思います。

ただ、この方法だと現役にまみれた市場で戦うことは不利かと思います。 「もの」の背景を読み取ってくれる人は、マニアなごく一部の人だけで、世間一般の多くの人は「もの」の背景は読み取らず、読み取ったとしてもその価値は薄いと。 多くの人は、「もの」自体の価値だけで判断するでしょう。 そのため、「古き良き時代のもの」という背景を武器にしても、それを評価してくれる人は少なく、現役のいるトップクラスの中で勝負することは不利だと思うのです。

そして、「古き良き時代のもの」という背景を使う限り、その枠から出て勝負することは難しいかと。 この方法を選んだ場合、成功しても「一部のマニアな界隈」が盛り上がるだけだと思います。


■ なぜ「フィルム写真」はオールドファッション化したのか?

ぼくはフィルムを使ってることもあり、フィルム写真には頑張ってっもらいたいです。

できれば前者のような方法で、デジタルとアナログの境界が無い、無差別級な土俵で評価される「フィルム写真」であってもらいたいのですが、 それも近い未来には消えてしまうかもしれません。 フィルム写真の「完全なオールドファッション化」は避けては通れないと思います。

そもそも、これだけ急速にオールドファッション化した文化も、珍しいのではないないでしょうか。

思えば、22歳の頃に取り組んでいた仕事内容は、「記録用カメラのフィルムからデジタルへの移行準備」でした。 あれから17年、今ではフィルムを見たことのない人も多数いるのが現状です。

その原因は、ひとえにデジタルカメラの利便性によるものだと思いますが、Webの急速な普及もその原因のひとつだと思っています。

フィルムの長所は上で挙げた通り、「大判カメラの緻密性(超高解像写真)」と、「アナログ的にプリントしたモノクロ写真のグラデーション」です。 そこにもうひとつ、「ポジフィルム原板の美しさ」も入れたとします。

考えてみれば、これらフィルム写真の長所は、Webでは伝わりにくい情報なのです。

大判カメラで得られた超高解像度写真は、巨大な「画」にすることが可能です。 それが一番の長所であり、その良さが一番伝わる方法でもあります。 そして、その良さを知るためには、スマホの小さな画面はもちろん、PCのモニタでも全然足りません。 上記で紹介したアンドレアス・グルスキーさんの作品は、畳6枚分の大きさを超えるものも多いのです。

アナログ的なプリントで創られたモノクロ写真のグラデーションも、モニタの諧調では再現できません。 まさに「アナログの良さ」なので、Webのデジタル環境では良さを伝えることが出来ないのです。

そして、「ポジフィルム原板の美しさ」も同じ。 ポジフィルムからデジタルスキャンした写真はWebで伝えることが出来るのですが、それとポジ原版の美しさは別物。 やはりWebでは伝えられない良さなのです。

そう考えると、Webが発達した世界ではフィルムの良さを伝えることは難しいのかと。 せめて、Webが全メディアの極一部分ならよかったのですが、ここまで発達すると、その影響力は無視できません。 「Webで伝えられない情報」が、イコール「世間に伝えられない情報」となってる気がします。

「良さが伝わらないメディア」の急成長で消えていったものが、フィルム写真なんだと思います。


■ オールドファッションに光を当てる

そのため、「フィルム写真の良さ」を武器にするには、Webではない「リアルな場」が必要と思うわけです。

上質な紙の媒体や、広い展示場。
「小さなモニタでは伝わらない情報」を伝えられる環境が必要なんだと思います。

逆をいえば、Web環境でも充分に伝わるものは、「リアルな場所」で伝える必要性も薄くなり、受け手からの「Web以外の場所で伝達して欲しい」という声も少なくなるかと。 そして、Web以外の媒体で伝える「意味」を理解してくれる人も、少なくなっていく。

そうなると、ますますフィルム写真の良さを伝えることは難しくなるかと思います。

ただ、この状況をチャンスと思える人もいるみたいです。 元々、高いポテンシャルを持った「文化」にもかかわらず、何らかの理由でオールドファッション化したものは、「フィルム写真」以外にも多いと思います。 それらは光の当て方で、まだまだ現役で戦える可能性があるものばかり。そんなオールドファッションに「光を当ててみたい」と思うのも頷けます。

ぼくの「フィルム写真」のように、それの復活を願っている人は多く、それを実行する人が出てきても不思議ではありません。

そして、その光の当て方ですが、フィルム写真と同じく「ネットからリアルへの流れ」がキーワードになるかと。 それは「フィルム写真」と同じ理由でオールドファッション化してる文化が多いと思うからです。 あくまでも最初はWebで、そこからリアルへ移行する。 多くの人が、「Web環境では伝わらない情報がある」ことに気付いたとき、その流れは加速すると思います。

この先、ぼくは「フィルム写真」の使い方を考えつつ、
他の「古き良き時代のもの」の復活劇にも注目していきたいと思います。

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カテゴリ: 写真 | 筆者: kenji | 投稿日: 2017/03/04

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