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今のうちに「ポジフィルムの原板」を見ておいた方が良い3つの理由

ポジフィルム

このサイトで公開している写真は、ほとんどがフィルムで撮ったもの。

そんな67 PHOTOの写真ですが、サイト内のカラー写真の9割以上は、ポジフィルムで撮った写真だったりします。 上の写真は、そんなポジフィルムを、アクリルフォトフレームに入れてみたところです。

写真を初めたころは、デジタルとネガフィルムの両刀使いでしたが、いつの頃からかポジフィルムを使いはじめ、中判に移行してからはポジフィルムが主流となりました。 そんなフィルム使いのぼくが感じる「ポジフィルムの魅力」をまとめてみたいと思います。

ちなみに、ポジフィルムとリバーサルフィルムは同じもの。
ふたつは呼び方が違うだけですので、あしからず。


■ なにより美しい

ポジフィルムの原板は「きれい」です。

ネガの原板は、色が反転してるので、何が写ってるか分かりにくいし、分かったとしても、それを「きれい」とは感じにくいかと思います。 人の顔とか怖いですし。ネガの原板は単に写真を作るための「データ」なので、そこに「きれい」がないのは仕方のないこと。

一方、ポジフィルムの原板は色が反転していないので、写っているものを認識することができます。 ポジフィルムの原板も、ネガの原板と同様に写真を作るための「データ」なのですが、そのまま見れることもあって、完成系の「写真」である一面も。 紙にプリントされた写真や、モニターに映し出された写真があるように、「ポジフィルムの原板」という写真があるのです。

そして、その程よい大きさが、更に「ポジフィルムの原板」を美しく見せるのです。

ぼくの使っている中判67フォーマットは、フィルムサイズが約6×7cm。 その面積はL判写真よりも小さい。 にもかかわらず、ポジフィルムのもつ情報は人の網膜の解像力をはるかに超えているので、初めて見る人はその画像の緻密性に驚くことが多いです。

この、画像の緻密性から感じる「ポジフィルムの原板」の美しさは、MacのRetinaディスプレイから感じる美しさと原理は同じです。 4Kや8Kモニターもそう。 ドットや粒子などの、写真を構成する最小単位が見えにくいことは、そのまま写真から感じる美しさに繋がるのです。

また、ポジフィルムの原板を鑑賞するための「透過光」も美しさを生み出す要因のひとつ。

ポジフィルムの原板を鑑賞するには「透過光」必要です。透過光とは、原板の後ろから当てる光のこと。 ポジフィルムの原板は、後ろから光を当てて鑑賞するのです。 仮に前から光を当てても何も見えません。ただの黒いシートに見えるだけです。 ポジフィルムの原板を鑑賞するには、ライトボックスと呼ばれる明るい台の上に置いたり、手に持って太陽や電燈にかざす必要があります。 そうして見たポジフィルムの原板は、反射光でみる紙の写真よりも、輝いて見えるのです。

これは、紙にプリントされた写真の白色は「紙の白色」で表現されているのに対し、ポジフィルムの原板の白色は「光源の白」で表現されるから。 つまり、ポジフィルムの原板の中での「明るい」は、「紙の白色」ではなく「光源の明るさ」で表現されるからです。

これは、PCやスマホのモニターで見る写真とよく似ています。 紙にプリントされた写真よりも、モニタで見る写真の方が好きな人は、ポジフィルムの原板の美しさにも、おそらく共感してくれると思います。


■ 写真の記録性以上の価値がある

ポジフィルムの原板は「美しさ」以外にも価値があります。

本来、フィルムの原板はプリント写真を作るためのマスターな役割もあるので、見た目の価値がなくとも「マスター」な価値があります。 それは、楽曲のマスターテープと同一の価値。 デジタル写真のRAWファイルにも「マスター」な価値はありますが、フィルムの原板は厳密な意味で複製することができないので、その価値観はさらに高くなります。

そして、ポジフィルムの原板は「その場所」に行って作られたことも、価値を上げる要因のひとつ。 南の国の写真なら、そのポジフィルムの原板は実際に南の国へ行ってきたことを意味しています。 有名な方の写真なら、実際にフィルムが会ったことに。 それは、昔に流行った「空気の缶詰」的な価値観と似ているのかも知れません。

そう考えれば、そんなポジフィルムの原板を「見る」だけでも、特別な体験になるかと思います。


■ 撮影が難しい

ポジフィルムでの撮影は難しいです。

紙の写真やデジタル写真は、撮った後の処理(RAW現像やプリント)も大切で、それは写真作成においては必須な工程です。 その工程では、撮影時の小さな失敗も、いくらかは修正可能。 ラティチュードの狭いといわれるポジフィルムでも、紙へのプリントや、スキャンしてのデジタル化が目的なら、多少の調整は可能です。

でも、ポジフィルムの原板は、それ自体が完成系とすると、一切の調整はできません。 フィルムの現像処理も、決められた工程を進めるだけなので、調整は難しい。というか無理です。 いいところ、露出の失敗を1〜3段の幅で増感減感で修正するくらいです。 その場合でも1コマ無駄にして、フィルム単位での調整になってしまいます。 フィルム内の特定のコマだけを調整することは出来ないのです。

そして、トリミングも難しいです。 ポジフィルムの原板をカットすればトリミングはできますが。それをOKとするかは個人の考え方次第。 紙にプリントしたり、デジタルで全体を縮小するなら、画角の比率が変わるだけで済みますが、ポジフィルムの原板だと、明らかに「切りました」ってことになってしまいます。 35mm判の大きさにカットすれば、違和感はないかもしれませんが、黒縁がなくなってしまうので、やはりトリミングはできないと考えた方が正解だと思います。

そんな撮影時の撮り手の「本気」に触れられるのも、ポジフィルムの原板の魅力のひとつだと思います。


■ 美術品要素を兼ねそろえたポジフィルムの原板

リバーサル

ポジフィルムの原板は美しい。
そして、複製不可能な1品もの。

そう考えれば、美術品の要素も兼ねそろえているのではないでしょうか? 有名な写真家さんのポジフィルムの原板なら、それだけで写真展を開けられるだろうし、美術館に展示されててもおかしくありません。 昔のフィルムは経年劣化が酷かったのですが、今のフィルムは環境が良ければ永久保存も可能なので資産価値もあると思います。

そんなポジフィルムの原板は、時代の変化と共に、消える運命にあるのかも知れません。
そう考えれば、今のうちに現物は見ておいた方が良いと思います。

きっと。

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カテゴリ: 写真 | 筆者: kenji | 投稿日: 2017/03/03

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