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フランスパンの作り方

フランスパンとは、バゲットやバタールのことで、その呼び方は日本独自のものです。

小麦粉と水、塩、酵母のみで作られているハード系のパンは、 長さや大きさ、その形で個別の名前を付けられているのですが、 日本では総称して、それらのパンをフランスパンと呼んでいます。

そんな日本で「フランスパン」と呼んでいるものの多くは、おそらくバゲット。 重さ約250g、長さ70cm前後のハード系のパン。 関西地方では、フランスパンではなく、正式名称のバゲットと呼ばれています。

また、バゲットよりもずんぐりとしたフォルムの、「バタール」もたまに見かけます。 長さ40cm程度で、重さ250g前後のハード系のパン。 バゲットより短いので家庭のオーブンで焼くなら最適な形かと思います。

そんなわけで、我家でフランスパンと言えば、バタールを指すことが多いです。


材料を計量する


フランスパンは、必要な材料が少なくシンプルなパンです。

そのため、材料の良し悪しはともかく、作り手の技量が多く反映するパンと言えます。 ハード系のパンを美味しく焼くには、他のパンより、作り手の技術を多く必要とするのです。

そして、パン作りで最初に行う「材料の計量」も、大事な工程というわけです。

パンに限らず材料の計量は大事ですが、パンにおいてのそれは、他の料理と比べても重要度は高いです。 塩や砂糖の味付けでは、多少の誤差があっても大した問題にはなりませんが、パン焼きとなるとそれは別。 お菓子作りにおける「計量」の大切さと同じです。

その理由は、少しの計量ミスが大きなミスにつながることはもちろんですが、 正確な計量によって基準を作っておかないと、失敗したときの原因究明が難しくなるからです。 また、レシピ通りに作っても、調理場の温度や湿度、材料のロットの微妙な違いで、上手く焼けないこともあるかと思います。 そんなとき、レシピから外れて計量を微調整する必要もあるのですが、これも、正確な計量を行わないと、「微」な調整ができません。

ですので、正確な計量がフランスパン作りには必要になってくるのです。

その計量ですが、フランスパン作りにおいては体積ではなく、重量を使って行います。 小麦粉や塩などはもちろん、水も重量で計量します。

小さじい1杯や、400ccなどの体積で計ってしまうと、数値の誤差が多く、ミスの原因となります。 空気を多く含む小麦粉を計量するには、やはり重量で計ることが必須となるので、それに合わせて、すべての材料を重量で計る必要が生まれてくるのです。

使用する秤は、最小単位が1以下のものが望ましいです。

計るときは水平な場所で行い、秤の保管も水平で上には何も乗せず、バネの狂いを防ぐ気遣いが必要です。 あたりまえで、細かいことかもしれませんが、そうすることによって「正確な計量」が生まれます。

そして、フランスパンのレシピを探すと、材料の重量は書かれておらず、パーセント表示のものが多いです。

これは、できあがるパンの重量を縛らないためです。 重量表示のレシピでもパンの良し悪しに影響はないのですが、作りたいパンの量や重さから材料の必要量を逆算するときに不便です。 そこへ行くとパーセント表示は逆算が簡単なのです。

このパーセント表示ですが、材料の合計量を100%とするのではなく、材料同士の比として用いられているので注意が必要です。 例えば、強力粉100%、水70%、塩1%、酵母0.5%だとしたら、強力粉を300g使う場合は、水210g、塩3g、酵母1.5gとなります。 そして完成したパンと粉の重量比が分かれば、作りたい量から逆算して材料の使用量が分かるというわけです。

ちなみに、フランスパンに使用する小麦粉は、強力粉ではありません。

専用粉も売られていますが、強力粉と薄力粉を混ぜることによって作ることも可能です。 フランスパンに必要な小麦粉のタンパク量は、中力粉と強力粉の中間なので、強力粉に対して薄力粉を、2:1で混ぜるとそうなります。 ただ、強力粉100%の小麦粉でも、フランスパンの形にすることは可能で、レシピの微調整も必要ありません。


フランスパンの材料を計る


小麦粉

水の量は粉に対して70%。
酵母のドライイーストは1%。
塩は2%。

ぼくは、粉300gで焼くことが多いのですが、そのときの水の量は210g、塩は6g、ドライイースト3gとなります。

使用する水の温度は約35℃。
あとで記述しますが、この温度も大切です。

フランスパンはハード系のパンなので、材料はこれだけで良いのですが、補助的に入れるものもいくつか存在します。 砂糖を3%加えると、モチっとした食感になり、モルトを入れると酵母の働きを助け、醗酵が進みやすくなります。 また、レモン汁を数滴加えると、パンの中に気泡ができやすくなるみたいです。


捏上でグルテンを生成する


フランスパンを作る上で、材料を混ぜ合わせることを「捏上」、もしくは「ミキシング」と呼びます。

小麦粉と水、塩、酵母が混ざり合い、様々な現象が生まれ、その後のパンの出来を左右する大事な工程です。 材料を均一に混ぜることも大切ですが、それ以外にも注意しなければならない要因がいくつかあります。

ひとつはグルテンの生成を促すこと。

グルテンとはタンパク質の一種で、その構造からパンに「弾性」をもたらします。 グルテンのタンパク構造はひも状で、ミキシングによりお互いが結びつき、太い束状となって、 酵母の生成した二酸化炭素を生地内に閉じ込めます。 閉じ込められた二酸化炭素は、オーブンで焼かれたときに膨張し、パンの内部に気泡をつくってボリュームをもたらします。

そして、グルテンにはふたつの相反する性質が同居しています。

グルテンを構成するタンパク質は、「グルテニン」と、「グリアジン」の2種類。 グルテニンは比較的固く、物理的構造を支える性質があり、生地に弾性を与えます。 一方、リアジンは比較的柔らかく、グルテンに伸びる性質を生み出し、生地に進展性を与えます。

こふたつのタンパクがもたらす、「弾性」と、「進展性」。 この相反するふたつの性質は、パン生地にとって、共に重要で無くてはならないものです。 弾性が強く進展性が弱いと、パンの形に成型するとき、思うような形になりません。 逆に、進展性が強く弾性が弱いと、ぐったりしたパン生地となり、成型することはできません。

そして、グルテンの過剰生成にも注意する必要があります。

グルテンは、捏上げれば無限に出てくるものではなく、限界があります。 生地に含有されてるタンパク量には限りがあるので、それを全てグルテンにしてしまえば、それ以上のグルテンは生まれません。 そして、グルテンを100%生成させた後、さらに捏上を続けると、せっかく生み出したグルテンの構造も崩壊し、生地はスライム状になってしまいます。

これを「グルテン崩壊」と呼びます。

グルテンの生成は、その後の醗酵の工程でも進むので、捏上の段階ではその余力を残しておく必要があるのです。 もし、グルテンウィンドウができるようでは、それは捏ね過ぎの証です。


捏上温度に注意する


捏上で注意するもうひとつの要因は、捏上温度です。

捏上温度とは、捏上が終わったときの生地の温度であり、その後の「1次醗酵」の生地温度でもあります。 酵母による醗酵は、捏上するときにはじまっています。 そう考えると、捏上しているときにも「生地の温度管理」は必要となるのですが、 捏上は比較的短時間で終了するので、「生地の温度調整」をする工程と認識しても問題ないかと思います。

醗酵温度は、あとで詳しく記述するとして、その目安は概ね24〜26℃。

そのために必要なのは水の温度管理です。 生地の材料となる水の温度で、生地全体の温度を調節していきます。 使用する水の温度計算式は以下の通りです。

・水の温度=(目標の捏上温度−捏上時の上昇温度)×3−小麦粉の温度−室温

捏上時の上昇温度は、環境によって大きく変わるので、レシピには乗っておらず、自分で割り出す必要があります。 適当な水の温度で生地を作れば、その差から自分で求めることが出来るかと思われます。

また、捏上の手法で、少しですが温度調節は可能です。

叩きつけたり、薄く延ばすことで生地の温度は低下します。 大切なのは、捏上時に細かく生地温度を計ること。 そうすることによって、捏上温度を調整する方法が身に付き、 慣れてくれば、途中で生地温度を計らずとも、狙った捏上温度に調整出来るようになるかと思われます。


フランスパンの生地を捏上る


生地

捏上は、材料と水を合わせた瞬間から始まります。

水と粉とその他の材料が、ひとつにまとまるまで、時間にして2〜3分はゆっくりと捏上ます。
ちなみに、この段階で生地の状態は「べたべた」です。

ひとつにまとまったら、強めに捏上ていきます。 生地を手のひらで押しつけたり、叩きつけたりすればグルテンの生成が進み、生地には弾性が生まれてきます。 ここで、生地のべたついた状態は少しづつ解消されていきます。

捏上スピードは、材料が1つにまとまった後、ゆっくり3分、すばやく1分。
過剰な捏上は、小麦粉の酸化を促し、旨みの減少に繋がるので注意が必要。
捏上が終わったときの生地の温度は25℃がベストです。

この段階でも、生地のべたつきは完全には解消されていませんが、捏上はそれくらいでOKです。


一次醗酵で酵母のする仕事


一次発酵は、捏上が終了した時点から始まっています。

醗酵の初期は、生地内に取り込まれた酸素を消費して進みますが、それは数分のこと。 その後は、無酸素状態で嫌気的に醗酵は進んでいきます。

フランスパンを作る上で、醗酵工程は酵母の活動にその全てを委ねることになるので、時間はかかります。 この時間は、生地改良材などで速く進めることも可能ですが、風味のあるパンを作りたいのなら、それらは使用しない方が良いです。

そして、醗酵において酵母が担う仕事は、大きく分けると、ふたつあります。

ひとつは、パンの風味を担う「有機酸の生成」。 酵母は、酵素を使って、パン生地の中にあるデンプンやタンパク質を、アルコールやアミノ酸等の有機酸に分解します。 この有機酸がパンに風味をもたらすのです。

もうひとつは、パンのボリュームを担う「二酸化炭素の生成」。 酵母は、パン生地内に形成されたグルテン構造の中に二酸化炭素を含ませます。 すると、オーブンで焼いたときに二酸化炭素は膨張し、グルテン構造を推し膨らませ、パン全体にボリュームをもたらせるのです。

この有機酸と二酸化炭素の生成は、酵母が同時に進めてくれるのですが、その活性温度は若干異なります。

有機酸の生成は比較的低温で進み、二酸化炭素の生成はそれよりも高温で活性化されます。 そのため、風味がよく、なおかつボリュームのあるフランスパンを作ろうとするならば、その醗酵温度は24〜26℃が適切。 そして、醗酵温度が若干低めなので、長めの醗酵時間がフランスパンには必要となってくるのです。

ちなみに、醗酵工程でも酵母によるグルテン生成は進みますが、これはどの温度域でも進みます。


ガス抜きはパンチでなく「折りたたみ」が有効


醗酵時間を長くおくと、途中で生地内に溜まったガスを抜く必要が出てきます。

このとき、生地内に溜まったガスとは二酸化炭素のこと。 せっかく醗酵によって生成された二酸化炭素ですが、生地内に多くあると、酵母の活動の妨げとなります。 より良い醗酵を促すためにも、1時間以上の醗酵を行う場合は、必須の工程となります。

ガス抜きのタイミングは、発酵時間の中間で行うことが効果的。 2時間の発酵なら、開始から1時間後に。 3時間の発酵なら、開始から1時間後と2時間後に2回行います。

生地からガスを抜く方法は色々とありますが、生地をパンチするメジャーな方法より、生地を折りたたむ方が効果的です。 最低限の打ち粉で生地を適度に広げ、上下左右から内側に向かって、ガスを抜きながら折りたたみます。 そうすることによって適度にガスを抜くことができます。 このとき、全てのガスを抜く必要はありません。

そして、この「折りたたむ」方法は、ガス抜き以外にも、ふたつのメリットがあるのです。

ひとつは、「生地温度の均一化」です。 醗酵中はどうしても、生地の表面と内部に温度差が出てしまいます。 温度差があると、生地内に「醗酵の進み具合」のムラができ、パンの品質にも影響します。

そこで、ガス抜きにパン生地を折りたたむ方法をとると、表面だった部分は内部に入り込み、内部だった場所は表面にあがってくるので、生地内の温度差が解消されるのです。

もうひとつの利点は、生地の力が強化されること。 生地を延ばして広げ折りたたむことにより、グルテンの束の方向性は統一されます。 そうするとグルテンによる弾性も強化され、よりよい形のパンにすることが可能となります。

生地内のグルテンの束が、上下に延びた状態で存在。 この状態をキープしたものが理想で、これを崩さないためにも、再び捏ねるようなことは避けたいところです。


フランスパンの一次醗酵とガス抜き


材料にバターやタマゴ、ミルクを使用しないフランスパンは、酵母の生成する有機酸が美味さの肝です。

そのため、一次醗酵では低めの温度と、長めの時間を設定します。
温度は25℃で3時間醗酵のガス抜きは2回。

長時間醗酵させるので、グルテンの生成も多め。
そのため、捏上ではグルテンの生成は抑えて、生地もべたつく程度にしておいたわけです。


生地の分割は素早く正確に勢いで


一次醗酵が終了したら、生地に少量の打ち粉をし、ステンレスのケッパーで「フランスパン一個分の量」に分割します。

分割で醗酵は終了するので、この工程は手際よく素早く行う必要があります。 もし、作業が遅いと醗酵は待ってくれず、加醗酵状態に入る恐れもあるので。 この工程の先にも、グルテンの生成される工程はあるので、グルテン生成の余力を残す意味でも、手早く、手際よく行う必要があるわけです。

この分割では、必ず「ケッパー」を使用します。 もし、手でちぎって分割してしまうと、せっかく統一されていたグルテンの束の方向性も崩壊してしまいます。 また、生地内に溜まった二酸化炭素も、過度に放出してしまう恐れもあります。

そして、重量の微調整のために生地を小さく切って足したり減らしたりすることも、同じ理由で避けたいところ。 最低限の調整で済むように分割し、最低限、小さな生地の寄せ集めの生地にならないように注意が必要です。


ベンチタイムの重要性


分割した生地は軽く力を入れ、丸めておきます。
そしてベンチタイムです。

ベンチタイムは、分割と丸めによって引き締められた生地を、休ませて伸展性を回復させる工程です。 ベンチタイムをとらずに、引き締められた生地のまま次の工程である「成型」に進むと、生地に伸展性がないため成型は困難になります。 このとき、無理やり成形することも可能ですが、グルテン構造を破壊することになり、ぐったりとした力のない生地になってしまう恐れがあります。

ただ、ベンチタイムを長くとりすぎてもダメです。

長時間、生地を休ませると、伸展性も過剰となり、グルテン構造を破壊したときと同じように、ぐったりとした力のない生地になってしまいます。

また、生地のベンチタイム中は、その乾燥を防ぐため、綴じ目は上にしてビニールシートで覆います。 綴じ目を下にすると、生地の間延びを防ぐことはできますが、打ち粉が綴じ目より進入する恐れがあるので避けます。 この段階で生地の内部に生の粉が入り込むと、オーブンで焼いても内部に生の粉が存在することになります。


フランスパン生地のベンチタイム


ベンチタイム

生地に軽く打ち粉をして、フランスパン1本分に分割します。
フランスパン=バタールは1本あたり350g前後。

分割した生地は手で丸め、表面が乾燥しないようにラップなどをかけておきます。

フランスパンを作る上で、そのベンチタイムは概ね10〜30分ぐらいが妥当。
生地の様子を見ながら休ませます。

分割後の「丸め」を強く行った場合は、長めに休ませ、逆に、「丸め」を軽く行った場合は、短めに設定。
上手くベンチタイムをとられた生地は、その表面の張りは少し緩んでいる状態になります。


生地の成型


ベンチタイムで休ませた生地は、最終的なパンの形に成型させます。

フランスパンは、その形や大きさの違いによるレパートリーが豊富。
基本的な形を挙げれば、丸型(ブール型)、なまこ型、棒型。

日本でフランスパンと呼ばれるパンの形は、バゲット型です。

フォンデュ型は、麺棒で生地を押して作ります。 紐状にした生地を、複雑に編みこんだパンも存在します。 柔らかい生地で成型したパンは、その形が崩れないように、藤籠に入れたり、金属容器に入れたりします。

また、成型が終わったパン生地は、その表面が乾燥しないように、麻布やビニールシートで覆う必要があります。

少し話はそれますが、パンを作成する各工程は、工場などでは機械化が進み、「捏上」はもとより「分割」や「成型」も機械で行っているそうです。 パンを作る機械も技術が進歩し、手作業と同じ動きが可能になったわけです。


フランスパン(バタール)の形にする


ベンチタイムを終えた生地を「バタール」の形にしていきます。

丸めた生地を楕円形に伸ばし、上から1/3程を内側に折り返し、折り返した両端を内側に少し折り込みます。 生地を180度回転させ、同じように、上から1/3程を内側に折り返し、両端を内側に少し折り込みます。 折り込んだ部分を隠すように内側へ折り込み、境目を親指の腹で押して圧着させます。 生地を180度回転させ、同様に内側へ折り込み、境目を圧着させます。

上下を反転させ、生地の綴じ目は下に。
手で生地を転がしながらなまこ形に成型し、伸ばしてバタールの形にします。

ちなみに、バゲット型に成型した場合は、生地を麻や生地用の布で作った「ひだ」の中に安置させます。

こうして成型した生地は、このままの姿で最終醗酵に向かわせます。


ホイロと呼ばれる二次発酵は最終醗酵とも呼ばれています


最終醗酵は、ホイロ、二次発酵とも呼ばれていますが、すべて同じ工程です。

その最終醗酵の目的は、二酸化炭素の生成を促しパンにボリュームを与えること。 一次醗酵で有機酸の生成によるパンの風味は決定しているので、ここでは二酸化炭素の生成が主な目的となります。 そのため、醗酵温度も一次醗酵より高めで、時間も比較的に短めで大丈夫です。

ただ、グルテンの生成は進むので、醗酵時間の設定には注意が必要です。

最終醗酵が終わっても、窯(オーブン)で焼くときも醗酵は進み、グルテンの生成は起こるので、 最終醗酵が終わった段階でも、その余力は残しておかなければなりません。


フランスパンのホイロ時間


フランスパンの二次発酵は約1.5時間。

一次醗酵の3時間の半分の時間で大丈夫かと思います。 その醗酵温度は、一次醗酵と変わらず25℃に設定。 もう少し高めの27℃にしても良いのですが、この温度でも充分に二酸化炭素の生成が促されます。

ここら辺の設定は毎回変わるもので、一次醗酵の終わったときの生地の様子を見て判断することが必要です。


生地にクープ(切れ込み)を入れて焼成に備える


クープとは、パン生地にカミソリ刃等で入れる切れ込みのことです。

パン生地にクープを入れることによって、生地の弱い部分をつくりだし、焼成時にパンの膨張する力の逃げ道を作りだします。 そうすることによって、パンの膨張を意味する「釜伸び」を促しつつ、予期せぬ場所が裂けて見た目の悪いパンになることを防ぐのです。

そして、パンの外見を決めるのもクープの仕事。

バケットやバタールなど、それぞれのハード系のパンには伝統的な「クープの入れ方」がありますが、 絶対的なルールではないので、上記の目的がなされれば、自分オリジナルなクープを入れても構いません。

そんなクープですが、生地(グルテン構造)の強さによって、その深さを変える必要があります。

タンパク量が少なく、生地の力が弱いライ麦パンや、過醗酵(ホイロオーバー)の生地には浅めのクープを。 焼成時に充分な釜伸びが期待できるような強い生地には、1cmほどの深いクープを入れていきます。

そして、クープを入れた瞬間に、生地の強さを計れます。
切れ込みを入れた後、自然に裂け目が広がっていくのは、強い生地の証拠です。

ただ、クープは時間と共に生地に埋もれてしまうので、釜に入れる寸前で入れます。 また、切れ込みを入れるナイフにオリーブオイルを塗っておくと、生地に埋もれにくくなり、焼きあがりもきれいなクープとなりえます。


フランスパンの模様を決める


クープ

バゲットやバタールのフランスパンには、クープを縦に入れていきます。

竹串に固定したカミソリか、もしくは専用のクープナイフで、生地の表面を削ぐ様にクープを入れる。 生地の膨張を考慮して入れるクープは、生地に対して斜めではなく、ほぼ平行。 クープ同士がくっつかないように。写真のようなクープは、伝統的な入れ方からすれば悪い例です。

刃に生地がくっついてしまうときは、刃に水やオリーブオイルをつけておくと良いです。


生地をオーブンで焼く


最終醗酵を終えてクープを入れれば、いよいよ「焼き」に入ります。

パンを焼く窯(オーブン)は、事前に余熱する必要があるのですが、そのタイミングは最終醗酵中だと思われます。 クープを入れたらすぐに焼けるようにしておく。 そうしないと、醗酵は進み過醗酵状態ななりますし、クープは生地に埋もれてしまいます。 そのため、窯の準備は余裕をもって早めに行うことが大切です。

そして、パン生地を窯へ入れる直前に、釜の内部に向けて霧吹きでスチームし、釜の内部の湿度を上げておく必要があります。 湿度を高くしておくと、パン生地の表面は乾燥せず、その硬化も遅れるため、パンが膨張(釜伸び)しやすくなるからです。 また、スチームにより生地表面のでんぷんが糊化することで、艶のあるパリッとしたパンに仕上がります。

いよいよ、パン生地を窯の中に入れていきます。

窯に入った直後のパン生地は25℃前後ですが、その後は急激に上昇していきます。 パン生地内部の酵母は、この段階では生きていて、生地温度が54℃を超えるまで活性は続きます。 この温度付近では、むしろ醗酵スピードは最大となり、急激に生成された二酸化炭素ガスとアルコールによって、パン生地は急激に膨らみます。

この現象は、「釜伸び(オーブンスプリング)」と呼ばれてます。

そして、生地温度が60℃を超えて酵母が死滅しても、釜伸びは終わりません。 次は、パン生地の内部に閉じ込められていた二酸化炭素ガスが膨張しはじめます。 そうなると、パン全体のボリュームもアップするわけです。

また、熱を加えたことによって、パン生地中にあるデンプン粒に水分が浸透していきます。 水分を吸収したデンプン粒は、光沢を伴って膨張。 そして、温度が60℃を超えると、デンプン粒は糊化し、パン内部(クラム)の構造形成を助けます。

生地温度が70℃を超えると、二酸化炭素ガスは生地外部に発散していきます。

75℃を超えると、柔らかかったグルテンは伸びた状態で硬化し、窯伸びは終わります。 ここで、パンの形と大きさは完全に決まります。

そして、さらに生地温度は上昇していきます。

パン生地の内部温度は100℃を超えることはありませんが、表面温度はそれ以上に上昇していきます。 100℃になるとパン生地の外表(クラスト)は、メイラード反応により色づきます。 さらに温度が上がると、アルデヒドやケトンが生成され、これらはパンの良い香りに貢献してくれます。

150℃になると、糖のカラメル化反応がはじまり、クラストに深い色と、香ばしいフレーバーが生み出されます。 そして、180℃を超えると、メイラード反応も収縮していきます。


フランスパンの焼き方


フランスパン

オーブンの予熱温度は240℃。
この温度で25分間程、焼いていきます。

スチームはオーブンの設定で開始から1分ほど。
庫内に温度のムラがある場合は、10分くらいで前後に生地をまわすと良いでしょう。

いい色になったら完成です。


フランスパンの保存方法


気泡

焼きたてのパンは美味しいです。

なぜなら、焼き上がり直後からパンの劣化は始まるので、完成直後のパンは劣化も少なく美味しいわけです。 そのため、失敗したパンでも、焼きたてなら美味しく食べられます。

ただ、上手く焼けたパンは、冷めてから香りや風味が活きてくるもの。

冷めた状態で美味しいパンが、本当に美味しいパンなのです。
そして、時間が経てば経つほど美味しくなるフランスパンも存在します。

パンを美味しく保存するためにも、冷却環境は大切。

その環境は、パン表面のパリッとした食感を守るため、乾燥している事が重要です。 上手く焼けたパンは、しっかりと生地を醗酵させたフランスパンは、1週間程の常温保存が可能です。 それ以上の長期保存は、冷凍庫を使用した方が良いでしょう。

パンの劣化は、0〜10℃の温度域で最も早く進むので、冷蔵庫での保存は避けたいところです。


以上、フランスパンの作り方でした。

間違ってたらごめんなさい。
実行は自己責任でお願いします。

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カテゴリ: 家ごはん | 筆者: kenji  | 投稿日: 2017/03/25

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