我家のキッチンから炊飯器が消えたのは、仙台在住時の震災後のこと。
電気は使えなかったので、しかたなく卓上コンロと片手鍋でお米を炊いたのですが、それがビックリするくらい美味しかったのです。
「はじめチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いても蓋とるな」なんて火加減も無視して、煮物を作る感覚で炊いたのですが、
10分ほど蒸らせば、しっかりと「ごはん」な姿になってました。
そんな適当すぎる炊き方でも美味しかったので、電気炊飯器の存在自体に疑いの念も。
本当に炊飯器は必要なのかと。もしかしたら自炊する上で、そんなに重要なものでもないのかも、と思ってしまいました。
後片付けも鍋で炊いた方が簡単。
炊飯器は、お釜と蓋を取り外して水洗いし、本体の汚れた部分は布巾等で拭く必要があるのですが、
鍋で炊いた場合は、鍋を丸洗いすればいいだけ。
収納も、鍋は炊飯用の専用道具ではないので、炊飯器のように特別な場所も必要ありません。
そんなわけで、ライフラインが全て復旧しても、再び炊飯器を使うことはありませんでした。
そして始まった炊飯器無しの生活。
最初は片手鍋で炊いていましたが、途中から鉄釜で炊くことに。
被災した岩手にお金を落とすという名目で、岩手の南部鉄器製の鉄釜を購入したわけです。
南部鉄器の鉄釜は、見た目が最高にクール。
鋳型特有のザラザラ感がたまりません。
モノクロの被写体としても好きです。
蓋部分の蒸気穴にも小さな蓋が付いているので、ごはん炊きにも最適。
蓋が重いので、鍋を火にかければ圧力も多少かかります。
鍋は肉厚で重いですが、保温性もあるのでローストビーフも作りやすいかと。
欠点は、鉄製なところ。
長時間の調理や、鍋に料理を入れっぱなしにしておくと、錆びて黒くなったり、赤くなったり。
そのため手入れは少々めんどうで、水洗い後はすぐに水気を切り、内部は油を塗っておく必要も。
ただ、メンテナンスは大変ですが、手間のかかる分、愛着も生まれます。
そんな南部鉄器で「炊き込みご飯」を作ってみました。
具材は、鶏モモ肉、しめじ、ごぼう、油揚げ。
小さくカットし炒めます。
味付けは醤油と酒、みりん。
それをお米と一緒に炊いていきます。
鉄鍋で炊きます。
火加減は強火。
炊く時間は適当。
蒸らしは10分。
炊き込みごはん。
漬物と一緒に頂きました。
おいしい。
出汁と醤油のしみ込んだ「ごはん」は最高です。
もちろん、おこげも。
鉄鍋を購入して正解でした。
Copyright C 2007-. 67 PHOTO.All Rights Reserved.