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「しいたけ」が昔より美味しくなったのは「対立遺伝子」を持っていたから

原木しいたけ

原木しいたけは、真冬でも収穫できています。

とはいっても、それは自分で育てたものではなく、お手伝いを兼ねた研修先の原木しいたけ。 日中も氷点下の北海道は十勝地方。 今年(2018年)は暖かいのか、最高気温がプラスになる日も多いのですが、それでも原木しいたけの栽培に適している気温とはいえません。

そのため、3重構造のビニールハウスの中で薪ストーブを焚き、真冬でも適温を確保するのですが、それだけだと、原木しいたけの成長は見込めなかったりします。 温度だけではなく、湿度や新鮮な空気も大切なのですが、それ以上に使用する榾木の状態も大切みたいです。それを研修で学べました。

いくら薪ストーブで室温を上げているとはいえ、幅のある適温の下限ぎりぎり。もしくはその少し下。しいたけの旬である春や秋の気温に比べれば、やっぱり低め。 成長のスピードも遅くなってしまいますし、量も少な目。ですので、真冬は新しい榾木を使った方がいいみたいです。

しいたけ菌に支配された原木(榾木)からは、「しいたけ」は何回も発生してきます。 その回数はおよそ10回。上手に作られた榾木からはもっと。

ですが、初回の発生では、採れる「しいたけ」の量も多かったりするのです。

椎茸

そんな新しい榾木を真冬に使えば、少々環境が悪くても発生量は見込めるというわけです。

大切なことは「榾木の使用スケジュール」。
新しい榾木を真冬に使えるよう計画すること。
ただ、実際は言葉にするより難しいので、今から考えておきたいです。

と言いつつも、別なところで感心してたりもします。

本来は、春と秋にしか発生しない「しいたけ」なのですが、今では1年を通して発生しています。 以前は、胞子を飛ばすことによってその活動範囲を広げたいたのに、今は人の手を借りて効率よく広げています。活動時期も範囲も、劇的に広げた「しいたけ」。 全ては、「旨さ」を手に入れたことによるもの。

そう考えれば、しいたけは生物として勝ったと、そうも思えます。

ダーウィンの進化論が正しければ、より環境に適したものが生残り繁栄する。適していないものは淘汰される。 しいたけは、「人が食料を大量に増やす」という環境の中で、「旨さ」を武器に繁栄していきました。

そこに、生物の「繁栄する」という目的を感じてしまうのです。

しいたけ

思えば、そんなことは他にもあるわけで。

例えば花もそう。 花屋の店先に並んだいろんな花を見ていると、それぞれを「きれい」とは思うけど、それは人の価値観に合わせた「きれい」で、 もしかしたら、本来の目的である「花粉を運ぶ者」の価値観に合わせた「きれい」ではないのかもしれないけど、それでも立派に繁栄しています。

ペット動物もそう。 各々が獲得した「環境に適した姿」よりも、今は「人の心を動かす姿」を獲得した動物が繁栄します。 その意味では、シェパードとチワワの戦いもいい勝負になると思うのです。

そう考えれば、「交配」のできる種は有利と思えます。

自然な偶然に任せていた「交配」による正常変異も、人の手が入ることによって確率もあがり、 淘汰の選別も人の価値案に委ねることができる。

もちろん、「交配」のできない種も、人の手によって高確率に変異することもできるのですが、 その方法が「自然」とかけ離れすぎると、人に選んでもらえないこともある。 それでも隠れて繁栄することはできるのですが、やっぱり「旨い」や「きれい」、「人の心を動かす姿」の場合だと、その方法では人に選んでもらえ難い。

その点を考慮しても、「交配」のできる種は繁栄に有利と思うのです。

キノコ

しいたけも「交配」が可能な種です。

真核生物の「しいたけ」は、対立遺伝子を持っています。 そして、胞子を作るときに遺伝子は減数分裂され、新天地で他のしいたけ菌と融合して再び通常の遺伝子数になります。

植物の「交配」と少し違うスタイルで遺伝子が混ざり合いますが、遺伝子の受け継ぎ方は同一。 優性、独立、分離の法則も健在です。

そのため品種改良も進んで、昔の「しいたけ」と比べれば、現代の「しいたけ」の方がおいしいと。 もちろん収穫量も、大きさも、環境耐性も、すべてが上なんだと。

「旨さ」という武器も進化しているというわけです。

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カテゴリ: とかち暮らし | 筆者: kenji  | 投稿日: 2018/01/17

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