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新得町で冬眠するのは「蛇」と「ヒグマ」と「原木しいたけ」

新得町

今年(2017年)のクリスマス・イブの日に、雪は降りませんでした。
それでも、雪は積もっていたので、これも一種のホワイト・クリスマスなのかと。

北海道の十勝に限らず、例年、大雪の降りやすい12月末。 強力な寒気団は日本へ南下し、特に日本海側の地域に大雪をもたらします。 天気図を見れば、教科書に載っていそうな「西高東低」の姿もありました。 それは「クリスマス寒波」と呼ばれているもの。そんな名前の寒気団があるくらいなので、日本はホワイトクリスマスになりやすい地域なのかと、そう思ったりもします。

それでも今年は降らず。

少し寂しいなと、そう思っていたら、翌日、目が覚めると外は真っ白でした。道路もクルマも真っ白。 積雪は目視で30cmくらい。まだ辺りも暗かったのですが、そんな景色をしばらく眺め続けてしまいました。

道路

ただ、通勤のために外へ出ると、土砂降りの雨に変わっていました。

道路に積もった雪は、水を吸って重たくなり、クルマを真直ぐに進めてくれません。 それでも幹線道路へ出れば、アスファルトも剥きだし。クルマも走りやすいのですが、やっぱり寂しいなと。

定住2年目ですが、まだまだ「雪」は楽しく嬉しいもののようです。

足跡

この日は気温も高かったです。

雨が降ったこともあり、積もった雪も減ったかと。 仕事場でよく会うエゾリスも、この日は活発に見えました。 夏によく見た蛇たちも、もしかしたら春と勘違いして起きてくるかもと。 そう考えれば、ヒグマも目を覚ましているのかもと。

それは少し怖いです。

轍跡

それくらい暖かったので、森に安置している「原木しいたけの榾木(ほだぎ)」も動かせたかと。

雪が積もり、気温もマイナスな時間が長くなると、森の榾木もしばれます。凍ります。 すると、榾木同士はもちろんのこと、大地とも密着し、微動だにしない。 それでも無理に動かせば、樹皮が剥がれてしまい、しいたけの発生に悪い影響を残してしまいます。

ただ、真冬でも発生させたい原木しいたけ。

ハウス内で発生と榾木の休養を繰返せば、しいたけの生産も可能なのですが、榾木を繰り返し使っていると、発生量も徐々に減ってしまいます。 しいたけの大きさも、徐々に小さく。

そんなわけで、真冬でも森から新しい榾木を持ってきたくなるのです。

鎧ぶせ

そこで気が付くことは、榾木が寒さに強いこと。

厳密に言うと、榾木ではなく、その内部で生きている「しいたけの菌糸」が寒さに強い、ということ。 なんでも、気温がマイナス20℃を下回っても死なないのだとか。いくら原木の内部は守られているとはいえ、ずっと屋外にいれば、その内部も気温と同じ温度になるかと。 さすがに、成長も活動もしないのですが、それでも、寒さで死滅することはないそうです。

たしかに、去年、新得町はマイナス25℃まで気温が下がったこともあるのですが、それでも榾木は大丈夫でした。

雪紋

それは「冬眠」のようなものなのかと。

成長も活動もしない代わりに、寒くても死なない。 冬が終わって春になり、暖かくなれば再び活動を開始する。まさに「冬眠」。 農家さん達も、寒くて活動の止まった榾木のことを「寝てる」と言ってますし。

微生物学的なメカニズムは分かりませんが、「冬眠のようなもの」と考えてよさそうです。

本ぶせ

しいたけ菌糸は冬眠する。

そう考えれば、寝ているときの性質と、起こし方が気になります。 少し調べたところ、一度寒さで寝てしまうと、起きるのに少々時間がかかる、とのこと。 単に暖めればいいという簡単な話ではないようです。

そして、寒さには強くても、乾燥に弱いのは、寝ているときも同じらしいです。

ただ、外に出しておいた場合は、雪が降り積もるので、一定の保湿効果もあり、大丈夫だと。 注意が必要なのは、屋内の方。低い天井で、気密性の高いビニールハウス内であれば大丈夫なのですが、 薪ストーブなどで暖房をしているビニールハウスの方が、割と危険なようです。

常に暖めつつも、適度に散水して湿度を保っていれば大丈夫なのですが、それらを怠ると危険。 寝る直前の、寒さで活動が弱まったときは耐性も低下しているので、ちょっとした乾燥でも、しいたけ菌糸は死んでしまうそうです。 そうなると、暖め直して水分を与えても、他の菌が活発になるだけ。変なキノコも生えてしまいます。

そのため、冬眠中でも水分の確保は必要みたいです。

榾木

ただ、補水のために、水を榾木にかけると、冷えてしまい、寝てしまうことも。

使わない榾木なら、それでもよいのですが、次の発生の準備(休養工程)のために水をかける場合もあるので、そこで寝られてしまうと困ります。 寝ている状態は見ても分からないので、そのまま発生操作を進めてしまうことも多いです。

寝てしまったことに気付くのは、そのあと。
いくら経っても出てこない「しいたけ」。
そのときに気付くことが多いのだとか。

ベテランな方でも、そんな失敗はしてしまうそうです。

積雪

しいたけ菌糸の「冬眠」は、いい性質だなと思っていたのですが、やっぱり一長一短みたいです。

つまるところ、寒い冬の間は、森で伏せ込んである榾木は「冬眠」させ、 日々繰返す発生と休養の工程は「冬眠」させないように。 そんなことを考える必要があるみたいです。

発生中の榾木は、ハウス内の湿度で補水。 休養中の榾木は、ハウス内の温度を少々高めに保ちつつ、1日のうち一番榾木の温度が高いときに散水。つまり昼過ぎから夕方にかけて散水する。 散水後も、ハウス温度は高めに保ち「冬眠」させないようにする。

諸説があるようですが、そんなことに注意が必要みたいです。

通路

そして、寝てしまった榾木を起こす方法は、ひたすら補水しながら暖める、というもの。

ですので、冬眠で発生しなかった榾木も、時間が経ってから、もう一度発生操作すれば出るらしいです。 そして、森で冬眠している榾木も、春になると自然に起きてくるのですが、そのときの補水は、積もっていた雪の「溶けた水」から。 徐々に気温が高くなり、それに比例して残雪から水分を補給する。

そのため、榾木の上に積もった雪は取り除いてはダメなんだとか。
森の榾木は完全放置がいいのだと。

ほんと、自然は上手く出来ています。

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カテゴリ: とかち暮らし | 筆者: kenji  | 投稿日: 2017/12/29

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